マグミクス | manga * anime * game

ベジータ、「もっと評価されるべき」2つの変遷ポイント 極悪人から最高のライバルに

ベジータが変わったと思えるふたつのポイント

著:鳥山明『DRAGON BALL』完全版第23巻(集英社)
著:鳥山明『DRAGON BALL』完全版第23巻(集英社)

 本作を振り返った時、ベジータが大きく変わったという第1のポイントはここにあると思います。 それまでのベジータと大きく性格が変わったわけではありませんが、その目的が間違いなく変わったからです。以前のベジータはフリーザを倒して、代わりにその位置に座ることでした。それが悟空を倒して自分がNo.1になることに変わります。

 おそらく、それまでの自分の目標だったフリーザを倒した悟空に対して急速に興味がわいたのでしょう。そして、これがベジータにある変化をもたらします。それは征服欲や支配欲の欠如。ベジータのモチベーションは自分より強い相手を倒し、その位置につくことだと考えられます。つまり征服者だったフリーザから、単に強さだけを求める悟空にターゲットが変わったことで、倒した後の目的まで変わったのではないでしょうか。

 登場当初のベジータなら、悟空がいなくなった状況に喜び、邪魔者のいない地球を荒らしていたかもしれません。それが悟空を助ける方法を悟飯に伝え、超サイヤ人となった悟空と正面から戦って勝とうと考えました。不老不死になってでもフリーザを倒そうと考えていた時とは明らかに違います。

 このことがきっかけで、地球に居座ることになったベジータは、やがてブルマとの間にトランクスをもうけるという、それまででは考えられなかった展開を迎えました。しかし、すぐに家族愛に目覚めるわけでもなく、人造人間との戦いのなかで危険な目に遭うブルマと幼いトランクスを気にも留めない行動をとります。

 ところが、セルゲームの終盤でトランクスがセルに殺された時、ベジータは怒りで我を忘れてセルに向かっていきました。この間に何があったのでしょう。考えられる可能性はひとつ。精神と時の部屋でトランクスとふたりっきりで修行したことです。

 精神と時の部屋で何があったかは語られていませんが、幼い日に父を失っているトランクスと一緒にいることで、ベジータの心に何らかの感情に芽生えたのかもしれません。精神と時の部屋では1年の時間が過ぎているのですから。

 かつてベジータを見逃すよう悟空が言った時、クリリンはピッコロと違って絶対に改心しないと言っています。それが偶然の積み重ねとはいえ、目立った改心をすることもなく、もっとも頼もしい味方へとなりました。それも物語の進行上、まったく無理のない展開です。本作の素晴らしい部分は多々ありますが、このベジータの無理のない変節は、もっと評価されていいのではないでしょうか?

 もしかしたらプライドが高く融通が利かないように見えるベジータですが、本人も自覚しないだけで意外と周囲に染まりやすいタイプなのかもしれません。そう考えると「魔人ブウ編」以降、作品が進むにつれて徐々にギャグ化していったと言われるベジータの変貌も理解できますね。朱に交わって赤くなったのかもしれません。

(加々美利治)

【画像】悟空と並んで描かれるようになるベジータの姿(4枚)

画像ギャラリー

1 2