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『タッチ』って? 「タイトルの意味が分かるともっと面白いマンガ」3選

タイトルはマンガの顔であり、多くの候補から選び抜かれたものがほとんどです。当然、そこには作者の意図が込められているのですが、意外と読者は見過ごしがち。タイトルに込められた真意、しっかりとお届けします。

「そういえば…」言われて気付く、作者がタイトルに託した想いとは?

著:あだち充『タッチ』完全復刻版第1巻(小学館)
著:あだち充『タッチ』完全復刻版第1巻(小学館)

 マンガタイトルには当然ながら作者の想いが込められています。例えばここ最近、注目を集めた「ジャンプ+」掲載の読み切りマンガ『ルックバック』(著:藤本タツキ)では読了後、そのタイトルの意味が堰を切って押し寄せるド傑作でした。

 このようにタイトルに込めれた意味をくみ取ると、また違った味わいとなる作品が多く存在しています。ということで本稿では「タイトルの意味が分かるともっと面白いマンガ」をご紹介。もしかしたら作品自体の印象も変わってしまうかもしれません。

●タッチ、タッチ、ここにタッチ…と言うけれど? 衝撃的な『タッチ』の意味

 そういえば意味が分からないタイトルのマンガの筆頭といえば『タッチ』(著:あだち充)です。一体、何にタッチ(触)するというのでしょうか。ネットでは主人公が上杉達也(たつや)だからタッチなのではないか、なんて説も浮上しておりましたが、実際のところはというと、「達也と和也がバトンタッチする」という意味での「タッチ」なのです。ご存知の通り、『タッチ』の双子の弟・上杉和也は物語の途中で“きれいな顔”になってしまうのですが、あだち先生は最初からこの展開を予定していたからこそタイトルを『タッチ』にしていたのです。なお担当編集者からは何度もこの展開を変えるよう言われていたが、頑としてそこは譲らなかったそう。ちなみに、あだち作品は『ラフ』『H2』などなかなかどうして意味の気になる味なタイトルが多いです。

●言われてみて気付く人多数! 『I”s』とは何なのか

 恋愛マンガの金字塔『I”s(アイズ)』 (著:桂正和)もタイトルの意味を問われると答えに窮するも多い作品です。とりわけ少年時代に読んだ世代は「アイズ」という音で認識しているのでことさら字面を意識することもなかったでしょう。こちらは主要登場人物のイニシャルが「I」から始まることが由来です。主人公・一貴(いちたか)、伊織(いおり)、いつき……言われてみればまさしく「I”s」です。途中から登場する藍子(あいこ)も「アイ」であることには変わりません。さらにそこに「愛」や「哀」の意味も少しだけ含ませているとか。

●見れば見るほど意味が湧き出す! 『チ。-地球の運動について-』

 続いては今まさに話題沸騰中のマンガ『チ。-地球の運動について-』(著:魚豊)。見るからにこちらが意図している以上の何かが潜んでいそうなタイトルです。少なくとも「チ」は地動説、地球の「チ」で間違いないだろう……そう思っていれば、作者の魚豊先生がインタビューで語ったところによると“「知性の知」と「暴力の血」で「知と血」にしようと思っていた”とのこと。驚くべきことに「地動説」というテーマは後から決まったというのです。これだけでも十二分に意味を内包したタイトルですが、やはり気になるのが句点「。」の存在。果たして何を表しているのかというと、魚豊先生いわく“「。」は地球を表していると同時に、文の停止を意味する句点に軌跡を足すことで、「止まっていたものが動き出す」というコンセプトを表現”とのこと。ロゴデザインから何となく地球をイメージしている気はしていましたが、まさかそれ以上の意味があるとは……どうにも一筋縄ではいかぬ奥深いタイトルでありました。

 ということで往年の名作から最近の話題作まで「タイトル意味が分かるともっと面白いマンガ」をご紹介してきました。やはり意味深に思えるものはたいてい、意味深だったりするものです。ちなみに『HUNTER×HUNTER』(著:冨樫義博)のタイトルも秀逸ですが、さほど意味はなく、ただ単に2回並べてみたものだそう。これはこれで、グッときます。

(片野)

【画像】印象深いタイトルのマンガ

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