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レジェンド脚本家・辻真先氏が語る、国民的アニメの「第1話」たち

さらなる難題に挑んだ『ゲゲゲの鬼太郎』

ステレオ『ゲゲゲの鬼太郎』(朝日ソノラマ)。辻 真先脚本による「おはなし 妖怪雨ふり天狗」の他、テーマ曲を収録したソノシート本。(C)水木プロ・東映動画
ステレオ『ゲゲゲの鬼太郎』(朝日ソノラマ)。辻 真先脚本による「おはなし 妖怪雨ふり天狗」の他、テーマ曲を収録したソノシート本。(C)水木プロ・東映動画

――企画陣の希望も取り入れねばならない苦労がありましたが、『ジャングル大帝』の「第1話」は、どのように乗り越えたのでしょうか。

辻 第1話「行けパンジャの子」の脚本は、6回改稿し半年かけて完成させています。アフリカを舞台にした、獅子王/パンジャVS人間の攻防の物語。それを、CMタイムを境に飛躍させて、大洋に浮かぶ輸送船へと時空間を移しました。

 船のなかでは、人間にとらわれたパンジャの妃/エライザが、息子のレオに父王の最期を語ります。父から息子へとバトンが渡される王者の務め、そして母の愛を書いたつもりですが、試写会では「フィルムをかけ間違えたのか」「こんな複雑な構成が子どもにわかるか」と言われました。でも、最後まで見てもらえればわかるはず。放映時には、子どもたちはちゃんとドラマを受け止めてくれました。

――辻先生が手がけてこられた「第1話」には、先生の思いが一番込められているように思います。世界観の創出から始めなければならないわけですから。

辻 およそTV番組になりそうもないマンガも、TVにしなければならない。『ゲゲゲの鬼太郎』(1968年)も、そうでした。僕が書いていた当時はまだ『墓場鬼太郎』の題名でしたからね(※『墓場鬼太郎』は水木しげるが貸本漫画などで発表した作品。アニメ化に伴い『ゲゲゲの鬼太郎』に改題)。

 当時のTVアニメのスポンサーは、子ども向けの菓子や玩具の会社が中心ですから、「墓場チョコ」だの「妖怪キャラメル」は作れないだろうと案じました。そこで、テレビの子供番組にふさわしい、健全で希望あふれる『墓場鬼太郎』を書こうとしたんです。

「第1話」のタイトルは『おばけナイター』。おどろおどろしい「墓場」が舞台でも、子どもが野球を楽しむんだからいいでしょう、というわけです。気を遣って書いたつもりでしたが、視聴者からはのちのちまで「怖かった」とこぼされています。

 原作で、幽霊族最後の男の目玉が落ちて鬼太郎の「目玉の親父」になる、目玉ドロリ──をやりたいのが本音でしたが、到底できませんでしたね。

【画像】TVアニメの知られざる歴史も…『辻 真先のテレビアニメ道』

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