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【漫画】“逃げたらデビューできた”とは…? 漫画家の体験談を描いた作品が深い!

梅渡 飛鳥さんが『ちゃんと逃げたら漫画家デビューできました』という意味深なタイトルの作品をTwitterで公開しています。なかなかプロとしてデビューできなかった苦労と、そこから抜け出すことができた転機が描かれています。

“違う”と感じたら自分に合った道を探せば良い

デビューが決まらずに苦戦していた頃(梅渡 飛鳥さん提供)
デビューが決まらずに苦戦していた頃(梅渡 飛鳥さん提供)

 梅渡 飛鳥さん(@BaitoTackey)が、Twitterで『ちゃんと逃げたら漫画家デビューできました』と題した作品を公開しています。“マンガ賞は受賞できたけれど、デビューはできない”という壁に苦労したご自身の過去を描いているエッセイマンガです。

 その状態から抜け出してプロとしてデビューできたきっかけは、楽しいと感じるものへと“逃げる”ことでした。この体験談に、読者からは「いいお話でした」「逃げではなく方向転換なんだと思います」「自分も元気が出ました」などの感想が寄せられています。

 作者の梅渡 飛鳥さんに、お話を聞きました。

ーー作中でも触れられていますが、あらためて梅渡 飛鳥さんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 子供の頃から漫画家には憧れていて、専門学校での在学中に月刊誌で担当さんがつき、卒業してからもその方とやり取りしながら作品を描いていました。しかしなかなかデビューには結び付かず、悩んでいた頃に『おそ松さん』っていう人気アニメにハマって、「今はとにかく楽しいことをしよう」と考え、二次創作や同人活動を1年くらいやってました。

 そんな活動をしていくうちに、SNSやイベントで「梅渡さんの作品が好きです」「応援してます」という温かい声をかけていただけるようになりました。いろいろな道に行っても大丈夫なんだって思えるようになって、当時のやり方を見直すためにお世話になっていた担当さんから離れる決心をしました。

 それからタイミング良く、卒業した専門学校から某有名漫画家さんのアシスタント募集のお話をいただいたのです。ありがたいことに採用していただいてから2年半くらい、そこでアシスタント経験を積ませていただきました。

 それと同時進行で、SNSにも創作マンガを発表していたんですがなかなか伸びず……。ここでまた『おそ松さん』の映画を観に行った時に、そこに出ていた不良ぶってるけどアホっぽかったり根は優しかったりするキャラクターにインスピレーションを受けます。

 そこから『高校デビューしたい少年の漫画』というタイトルを発表したところ、たくさんの反響をいただきました。その後、Webマンガの出版社から連載のお声がけをいただいたのがきっかけです。

ーー今回のエピソードをマンガとして描いて発表したのは、どのような思いからでしょうか?

 いろいろな夢や目標を持って努力していても、なかなかそれを叶えられずに苦しんでる人ってたくさんいると思うんです。夢を実現させるための明確な正解ってなくて、結局は継続する力がないといけなくて……。

 でも「努力するぞ!」って意気込みだけじゃ継続はできないんですよね、そこに「楽しい」って感情がないと努力には結び付かない。言ってしまえば“楽しく夢中になれること”が“努力と継続”につながると考えています。この先のキツいハードルを越えていくためには、楽しいって感情がないとすぐに打ちのめされてしまうので……。

 だからちゃんと楽しいやり方で、それぞれの夢を追いかけていければなって思いを伝えたくて、マンガにして発表しました。

単行本は電子書籍で4巻まで発売中『元音くんはデビューしたい!』第1巻(講談社)
単行本は電子書籍で4巻まで発売中『元音くんはデビューしたい!』第1巻(講談社)

ーー本作は、“別の道を探ると新しいチャンスの可能性もある”という体験談でした。自分に合ったスタイルを見付ける前と後では、作品自体の質や内容にも変化は生まれましたか?

 変化はかなりありました。道を探らずにいた頃の自分は「この道からそれたら失敗するかもしれない!」って気持ちが強かったんです、まだ成功もしていないクセにですよ(笑)。「マンガの描き方はこれが正しい」だとか、「あのやり方はダメだ」とか勝手に決めて選択肢を減らしてたんです。そのせいで自分が本当に描きたいジャンルやキャラクターに蓋をしてしまって……。

 そんなことをしてたら描いてる本人も楽しくないわけですから、読者の方にも楽しさなんか伝わるはずもないんですよね。勇気を出して道をそれてみたら、そこには自分の知らない景色がいっぱいあって視野も広くなって、好きなジャンルに蓋をしているのがバカらしくなってきて。

 好きなジャンルも性癖もさらけ出した作品を描いたら、たくさんの共感の声がきてくれたんです。もともとキャラを作るのが苦手なタイプだったんですけど、今じゃ伸び伸びとキャラクターを描けるようになっています。

ーーお兄さんやイベント会場で出会った“ファン”の言葉も、梅渡 飛鳥さんにとって助けとなったようです。やはり、創作活動というものは周囲の言葉に大きく影響を受けるものですか?

 創作活動って基本的にひとりの空間になることが多いと思っています。自分は兄弟と暮らしてるのでそこはまだ緩和されていますが、場合によっては数日誰とも会話をしないパターンもあるものです。

 そういう時に周囲の言葉を聞けるってのは、クリエイターだけじゃなく、人間にとって1番の栄養になると思っています。健全な承認欲求ってみんな持っていますから。自分のことを応援してくれている家族や友だちやファンの方たちには、心から感謝しております。

ーー今回の作品に対する読者からの反応で、特に印象に残った声があれば教えて下さい。

 やはりみんな私と同じように落ち込んだり、半ば諦めそうになってしまっている人もたくさんいらっしゃって「今回のマンガを読んで元気が出ました」「目標がうまくいかずあきらめてしまっていましたが、また頑張ろうって思えました」など、共感と感謝のお言葉をいくつもいただきました。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 本業のマンガのお仕事もいただいているので、更新頻度は減ってしまうかもですが、今まで通り好きな“ラクガキ”を公開していきつつ、描きたいジャンルのマンガの発表やグッズ制作なども展開していきたいです。

(マグミクス編集部)

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