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主人公が最弱・アニメ4選 “戦闘力が低い”のに魅力的な理由は?

主人公といえば最強! というのが従来のマンガ・アニメでしたが、近年のアニメは主人公こそ“戦闘力”が低いキャラクターが多い印象です。記事では大ヒット中の作品など、主人公が弱いのに面白い作品を4つピックアップ。“最弱主人公”の魅力などとあわせて紹介します。

“主人公最弱アニメ”が大ヒット中! ケンカが弱い“泣き虫のヒーロー”

 マンガやアニメ作品において一昔前までは、主人公こそ“最強”キャラクターでした。しかし、近年の作品は逆に主人公こそ“最弱”、戦闘力が低いメインキャラクターが増えてきた印象です。

 この記事では「主人公が弱い(戦闘力が低い)のに面白い」作品を4つピックアップ。キャラクターの魅力や作品の面白さを紹介します。

●『東京卍リベンジャーズ』花垣武道

『東京リベンジャーズ』キービジュアル 
『東京リベンジャーズ』キービジュアル 

 2021年にTVアニメ化や実写映画化もされて大ヒットを記録している『東京卍リベンジャーズ』。主人公のタケミチこと花垣武道が、ヒロインの橘日向の命を救うため、12年前の中学時代にタイムリープして過去を変えるという、SF要素も併せ持ったヤンキーマンガです。

 タケミチは現代では、レンタルビデオ屋でのアルバイトに勤しむ冴えないフリーター。作中トップクラスにケンカが弱く、負け犬根性が染み付いており、タイムリープで過去に戻っても暴走族・東京卍會から奴隷のような扱いを受けてしまいます。

 自分の運命から散々逃げ続けてきたタケミチですが、あるとき「今度こそ逃げねえ! これは俺の人生のリベンジだ!」と覚悟を決めた名セリフを放ちます。以降、大事な人を守るためならば、どんなに殴られ蹴られボロボロになろうが諦めない……そんな姿勢を見た東京卍會のトップ“マイキー”こと佐野万次郎ら幹部たちから、次第に認められていくのです。

 やがて、東京卍會の壱番隊隊長を任せられるほどの信頼と立場を得ていくタケミチ。地位は上がっても“泣き虫”でケンカはからきしですが、それでも意中の女の子や、大切な友達や仲間のために命を賭して戦う姿に胸を打たれます。

 そんなタケミチの成長ドラマや、ヤンキーたちによるかっこいいイケンカアクション、タイムリープによるSF要素が加わった謀略サスペンスが、同作が大ヒットしたゆえんではないでしょうか。

 コミックスは2021年9月17日(金)に最新刊24巻が発売予定。アニメは「血のハロウィン編」に突入しており、今後の展開に注目です。

●『この素晴らしい世界に祝福を!』佐藤和真(カズマ)

『この素晴らしい世界に祝福を!』新作アニメ告知ビジュアル
『この素晴らしい世界に祝福を!』新作アニメ告知ビジュアル

 暁なつめ先生によるライトノベルが原作の人気アニメシリーズ『この素晴らしい世界に祝福を!』。2021年7月に生配信された「このすばチャンネル from 異世界みゅーじあむ」内で新作アニメの制作が決定したことが発表され、再び注目を集めています。

 物語は、交通事故(トラックに轢かれたと勘違いしたショック死)で死んだ主人公・佐藤和真(カズマ)が異世界に転生。女神のアクアや、紅魔族のめぐみん、女騎士ダクネスらクセが強いメンバーとパーティーを組んで魔王軍を相手に冒険生活を送るストーリーです。

 カズマはもともと現代では、ひきこもりだった高校生。異世界転生後は最弱職の「冒険者」。どんなにレベルを上げようと全てのステータスが平均値を上回ることはない最弱キャラクターです。しかし、幸運値に関しては異常に高く、アニメシーズン2の第7話では「じゃんけんで負けたことねーから」とまで明かしています。

 また、“真の男女平等主義者”をうたい「女の子相手でもドロップキックを食らわせられる公平な男」と公言し、女性に対して平気でセクハラするため、転生されたアクセルの街の住民や仲間たちからは「クズマ」「ゲスマ」「カスマ」などと呼ばれることもしばしば。魔王軍の幹部にすら「外道」と言われるなど、決して主人公らしい人格者でもありません。

 一方で、クズではない魅力的なシーンもたびたび描かれています。紅魔族のめぐみんは爆裂魔法を使用すると魔力が枯渇して動けなくなってしまうのですが、いつもカズマがおんぶする優しい一面も。頭の回転も早く、実力で上をいく魔王軍の幹部をもアイデアで圧倒。時おり描かれる頭の回転の早さを活かした戦闘シーンや男らしい優しさから高い人気を得ているのです。

 制作が決まっている新作アニメでは、カズマがどんな活躍を見せるのか? 今後の続報に要注目です。

●『ワールドトリガー』三雲修

『ワールドトリガー』2ndシーズン キービジュアル
『ワールドトリガー』2ndシーズン キービジュアル

 TVアニメの3rdシーズンの放送開始日が2021年10月9日に決定した『ワールドトリガー』。公開された特報映像では、空閑遊真、三雲修、雨取千佳ら玉狛第2のメンバーに、ついにヒュースが参戦することが明かされています。

 作者である葦原大介先生は「1話のトビラに描いた4人をそれぞれ主人公だと思って描いています」と記しており、三雲修、空閑遊真、雨取千佳、迅悠一の4人を主人公と位置づけしているようです。

 そんな同作で紹介したい“最弱主人公”が三雲修です。防衛機関「ボーダー」隊員の三雲ですが、ボーダー隊員には必須ともいえるトリオン量が圧倒的に少なく「防衛隊員として活躍するのは難しい」と言われるほど。

 ボーダー隊員としてのランクは、訓練生であるC級のひとつ上のB級。しかし、三雲が所属する玉狛支部の先輩で稽古をつけている烏丸京介に「本当にB級か?」と疑われるほど戦闘力が低いのです。B級ランク戦でも他の隊から真っ先に狙われるなど、周囲からも「弱い」と認識されてしまう“最弱主人公”です。

 読者からも間違いなく最弱と認識されているであろう三雲ですが、主人公たる一面もあるのです。それが、戦術と的確な判断力。B級ランク戦では、空閑遊真、雨取千佳ら玉狛第2のメンバーのリーダーとして、坂道や住宅地などのステージや地形を活かして「作戦勝ち」していきます。自身の戦闘力の低さを補う戦いぶりで、物語の主人公としての活躍をみせていくのです。

 また、空閑から「面倒見の鬼」と評される通り、自分の身を顧みずに他人を助けに行く主人公らしい性格の持ち主。戦闘力が低いからといって決して嫌いになれないキャラクターなのです。

 他にも“最強”と呼び声高い迅悠一など個性豊かなキャラクターが多く登場する同作。10月放送の3rd シーズンでは、玉狛第2メンバーがどんな活躍をみせるのか楽しみです。

●『灰と幻想のグリムガル』ハルヒロ

『灰と幻想のグリムガル』キービジュアル
『灰と幻想のグリムガル』キービジュアル

 最後は、一般的な少年少女が異世界生活を送るアニメ『灰と幻想のグリムガル』。記憶もなければお金もない6人が異世界「グリムガル」で見習い義勇兵として歩み始める物語です。

 メンバーは主人公で盗賊のハルヒロ、暗黒騎士のランタ、神官のマナト、戦士のモグゾー、狩人のユメ、魔法使いのシホル。同作の特徴はなんといっても、このパーティーメンバーが弱いことです。最弱モンスターのゴブリンたった1匹に大苦戦するほど。他のアニメ作品のように、急激に戦闘力が上がったり、必殺的な魔法技を覚えたりすることもない。職業に沿って少しずつ技を習得し成長するリアリティな現実を描いています。

 つまり「もし現代の若者が異世界に転生したら、こうなるんだろうな……」と実感させられてしまう目が離せなくなる作品です。

 そして、もうひとつの作品の見どころが、色彩感あふれる映像の美しさです。たびたびパステルカラーで描かれ、美しい自然や、空の美しさが際立つ構成となっています。異世界を神秘的かつ幻想的に描かれている同作は、まさにタイトル通り。みなさんもご覧になってみてはいかがでしょうか。

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 以上、“主人公が弱いのに面白い”作品を4つ紹介しました。他にも『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバルなど、紹介したいキャラクターはまだまだ存在します。皆さんの心に残っている“主人公が弱いのに面白い”作品は何ですか?

(中島憲太郎)

(C)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
(C)2016 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば製作委員会
(C)2017 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば2製作委員会
(C)2019 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/映画このすば製作委員会
(C)葦原大介/集英社・テレビ朝日・東映アニメーション
(C)2016十文字青・オーバーラップ/灰と幻想のグリムガル製作委員会

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