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『鬼滅の刃』一挙放送「兄妹の絆」 作品全体を象徴するキーワードとは

作品全体を象徴するキーワード

『鬼滅の刃』キービジュアル第1弾 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『鬼滅の刃』キービジュアル第1弾 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 鬼を倒すことを使命とする「鬼殺隊」の隊士である冨岡義勇は、鬼になった禰豆子の首をはねようとします。明らかに戦闘能力が上である義勇に対し、炭治郎は土下座することで妹の命乞いをします。そんな炭治郎を一喝するのが、『鬼滅の刃』という作品全体を象徴すると言ってもいい義勇のセリフです。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

 生殺与奪の権とは、生きるか死ぬかの決定権です。例えば、拘置所に収監されている死刑囚は、法務大臣が執行命令書に署名することで刑が執行されます。死刑囚が生きるか死ぬかは、法務大臣次第ということになります。刀を持つ義勇に対し、無抵抗に背中を見せている炭治郎も、いつ斬り殺されてもおかしくないわけです。

 義勇は炭治郎が鬼に家族を殺されていることを知っており、鬼になった妹をそれでも救いたいのかと、その本気度を問うていたのです。妹を守るためには、炭治郎は強くならなくてはいけません。誹謗中傷もされるでしょう。想像を絶するだろう、これからの厳しい現実世界を生き抜いてほしいと、心のなかで義勇は願っています。

 炭治郎のすごいところは、義勇の言葉を瞬時に理解し、即行動に移したことです。自分が持てる知恵と力の全力を出して、禰豆子を義勇から奪い返そうとします。追い詰められた炭治郎のこの行動力に、義勇は驚きを隠せません。学んだことをしっかりと自分の血肉に換えていくところが、炭治郎の素晴らしさです。

人のためだからこそ、一生懸命になれる炭治郎

 義勇の紹介によって、炭治郎は師匠となる鱗滝左近次とも知り合います。そして、「全集中の呼吸」「水の呼吸」を学ぶことになるのです。さらには「鬼殺隊」に入隊するために、藤襲山で行なわれる「最終選別」に参加します。隊士になって鬼について学べば、禰豆子を人間に戻す方法も見つかるかもしれないと考えたのです。藤襲山には同期入隊となる我妻善逸、栗花落カナヲ、不死川玄弥たちも姿を見せます。

 藤襲山では異形の鬼・手鬼が待ち構えていました。これまでに鱗滝が育ててきた子供たちを次々と食べてきた恐ろしい巨体の鬼です。手鬼をはじめ圧倒的なパワーを誇る鬼たちに対し、炭治郎は刀一本で絶望的とも思える戦いを挑み続けます。

 生きるか死ぬかの戦いを続けていれば、心まで荒れていくものですが、炭治郎は自分が倒した鬼が二度と鬼にならないように祈ることも忘れません。炭治郎が優しい心を保ち続けることができたのは、妹の禰豆子を救いたいという強い想いが根底にあるからではないでしょうか。

 自分のためではなく、人のためだからこそ、一生懸命になれる。心優しい炭治郎が、価値観の異なる人たちと出会うことで成長していく姿に、多くのファンは魅力を感じています。コロナ禍によって殺伐としがちな現代社会だからこそ、優しさと強さを併せ持つ炭治郎は時代のヒーローになったのかもしれません。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(長野辰次)

【画像】冨岡義勇の半々羽織柄がアクセント 『鬼滅』の使いやすいミニ財布(7枚)

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