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一度は主人公の座についた「孫悟飯」 父を超える“才能”を活かせない理由とは

一度は主人公の座に就くものの、弱体化してしまう悟飯

 こうして最強となった悟飯ですが、平和だった時期に修行をなまけたことで弱体化してしまいます。悟空はもちろん、口ぶりから考えると戦闘力はベジータにも抜かれていました。しかし、優秀な成績で学校に入学したことを考えると、ただ遊んでいたわけでなく、かなり真面目に勉強していたのでしょうから仕方ありません。

 ところが平和だった時間は終わり、魔人ブウとの戦いが始まります。ここで悟飯は紆余曲折あって、老界王神の儀式で潜在能力を開放しました。その力は悪の魔人ブウを圧倒するほどのもので、合体しない単独の戦士として作中最強クラスの力を手に入れます。

 しかし、ささいな油断からゴテンクスとピッコロを吸収した魔人ブウに立場を逆転され、さらに自身も吸収されてしまいました。かつてセルとの戦いで超サイヤ人2になった時もそうですが、悟飯には戦士として決定的に緊張感が不足しているのかもしれません。この見積もりの甘さが、せっかくの才能を生かせない原因なのでしょう。

 一度は悟空から主人公の座を譲り受けた悟飯が、その座を返すことになったのも、この油断してしまう甘さが原因かもしれません。バトルものの主人公が油断しやすいと、物語の緊張感が損なわれますから。そう考えると、悟飯はいまだに「未完の大器」なのかもしれません。現実でも才能があっても目が出ない二世選手という方はよく耳にします。ピッコロとの修行で泣き虫は克服しても、戦いにおける詰めの甘さは克服できなかったのでしょう。

 ちなみに『ドラゴンボール』の世界では、修行を怠ると戦闘力が低下することが顕著に現れます。魔人ブウとの戦い以降はアニメ『ドラゴンボール超』で見ることができますが、当初の悟飯は超サイヤ人になることもギリギリで、老界王神から授かった潜在能力開放時の姿になれずにいました。この間、ビーデルとの結婚、娘であるパンの誕生、夢だった学者への道を歩み始めるという順風満帆な人生を送っていたので仕方ありません。

 戦いは父である悟空とベジータという2強がいたことで安心して戦いから身を引いていたのでしょう。しかし、復活したフリーザの襲来、宇宙存亡がかかった「力の大会」と、悟飯は愛する家族のビーデルとパンを守るため、戦いの場に戻らなければならなくなります。

 ピッコロとの再修行で往年の力を取り戻しつつある悟飯。家族を守るという気持ちで甘さを乗り越えることができれば、秘められた才能を今度こそ開花させて父の悟空をふたたび超えることができるかもしれません。

(加々美利治)

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