初心者がアニメ『ルパン三世』第1シリーズを見て驚く5つのこと
アニメ放送開始から50年が経過した『ルパン三世』。その第1シリーズは今観ても大人の魅力あふれる傑作です。とはいえルパン初心者からすれば「今のイメージ」とかけ離れている点も数あるようです。
設定も右往左往? 色々と固まる前だからこそ面白い初期ルパン
『ルパン三世』(原作:モンキー・パンチ)のアニメが放映開始されたのが1971年。2021年は記念すべき50周年です。それに伴い『ルパン三世 PART6』が10月よりスタート。令和におけるルパン(CV:山田康雄→栗田貫一)の活躍が今から楽しみです。また第1シーズンより次元大介役を演じてこられた小林清志さんが勇退を発表。大塚明夫さんに次のバトンを渡されました。
こうした長い歴史のなか『ルパン三世』という作品のパブリックイメージは徐々に紡がれてきたのです。当然ながら最初期は試行錯誤の連続。今観直すと初期ルパンを知らない人たちからすれば驚くような描写もしばしば。そこで本稿では第1シーズンから「今のルパン」とは違う要素を抜き出してご紹介していきます。『ルパン三世』のイメージが覆るかもしれません。
●オープニングテーマがあの曲じゃない!
まずオープニングテーマが違うことに驚かれる方もいるでしょう。一般的によく知られている「ルパン三世のテーマ」(作曲:大野雄二)はテレビアニメ第2シーズンから使用されるもの。そして第1シーズンの主題歌はというと、これがひんぱんに変わりました。ただしそのなかでもチャーリー・コーセイ氏が担当した「ルパン・ザ・サードの歌」(作詞:東京ムービー企画部 作曲:山下毅雄)が最も有名でしょう。オープニングはチャーリー氏の「ルパァーン、ルパァーン」という低くねばり気のある歌唱にスタイリッシュで疾走感のある映像が重なり、なんとも大人な雰囲気となっています。
●ルパンのジャケットが緑でカリオストロ
ルパンのジャケットの色は一般的に赤色のイメージが強いでしょう。これはモンキー・パンチ先生の原作でも同じこと。ところが第1シーズンのルパンは緑のジャケットに黒シャツといういでたち。(これはこれで相当おしゃれ)。これには理由があり、当時の放映技術では鮮やかな赤色をアニメで表現しづらかったという制作上の事情からなのです。ちなみに宮崎駿監督の『カリオストロの城』のルパンも緑色のジャケットなのはこの第1シーズンに準じているためでもあります。
●次元は別に帽子を取らないキャラじゃない
次元大介のトレードマークといえば目深に被ったハット。イメージビジュアルやポスター、名シーンダイジェストでは帽子を取った姿はほぼ描かれません。しかし実際のところハットを脱ぐことはレアなシーンというわけでもなく、変装する時、アジトに潜入する時、なんなら食事の時でもハットを抜いだりします。なお次元にとってハットは狙いを定める重要な役割を果たしているそうです。
●ハンマーの岩鉄という仲間の登場
ルパンの仲間といえば、次元大介に石川五ェ門(CV:大塚周夫)、そして一応、峰不二子(CV:二階堂有希子)です。ところが第1シーズンでは6話「雨の午後はヤバイゼ」においてハンマーの岩鉄なる新入りが登場。いかつい顔立ちや体格とは裏腹に軽やかな身のこなし。ルパン一味にはいない「パワー系」の仲間といったところ。しかし残念ながらレギュラー入りは果たせませんでした。
●ルパンは「殺人の腕も一流」という評価を受けている
これはなかなか衝撃的です。ルパンといえば粋でいなせな大泥棒。いくら悪事に手を染めているとはいえ「殺人」からは縁遠いイメージを持たれている方も多いはず。
しかしながらアニメも初期は殺しも泥棒も一流という扱い。劇中、殺害のシーンが直接的に描かれることはさほど多くありませんが、敵兵を倒したり、五ヱ門の師匠を撃ち落としたりする場面などが描かれます。なお原作はもっと残酷だったりします。
ここまで『ルパン三世』の第1シーズンより、今のルパンとはイメージが少し違うポイントをかいつまんで紹介してきました。他にも五ェ門が峰不二子のことを「不二子ちゃん」と呼んでいたり、原作にあるルパン帝国(ルパンを中心とした組織)という設定が最初だけ出てきてすぐ消えたりとまだまだありそうです。ただし一番、驚くことは「50年前のものとは思えない」こと。これに尽きるでしょう。
(片野)