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『鬼滅の刃』第5夜は「柱合会議編」 胡蝶カナエの名言「人の心は花開く」

親から虐待されて育った栗花落カナヲ

栗花落カナヲが表紙 著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第18巻(集英社)
栗花落カナヲが表紙 著:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第18巻(集英社)

「きっかけさえあれば 人の心は花開くから 大丈夫」

 これは、胡蝶しのぶの鬼に殺された姉・胡蝶カナエが残した言葉です。

 炭治郎と同期入隊した栗花落カナヲは、蟲柱・胡蝶しのぶの「継子」に選ばれるほど剣士としての身体能力に恵まれています。しかし、カナヲの生い立ちは、決して恵まれていません。家は貧しく、親からは名前すら付けてもらえず、ネグレクト(育児放棄)状態で過ごしてきました。カナヲの口数が極端に少なく、感情が乏しいのはそのためです。

 やがて、カナヲはお金で売られ、人買いの手に渡ります。そのまま裏社会へと流されていきそうなところを、胡蝶カナエ・しのぶ姉妹に出会ったのでした。

 カナエ・しのぶに引き取られ、カナヲは美少女へと育ちますが、幼い頃からのトラウマが残り、自分の気持ちを口にし、自分の意思で行動することができません。今のおっとりしたしのぶと違って、当時のしのぶはカリカリしがちでした。そんな妹に対し、いつも落ち着いているカナエは「いつか好きな男の子でもできれば カナヲだって変わるわよ」と笑顔でカナヲをかばいます。

 心を閉ざしている相手に厳しくしても、ますます心を閉ざすだけです。太陽のように暖かい眼差しで孤独な少女・カナヲを見守る姉・カナエは、しのぶにとっても憧れの存在でした。

「鬼殺隊」と鬼との違いは、紙一重

 栗花落カナヲが幼少期に、家庭内で虐待され、身売りされていたことには驚きを覚えますが、戦前の日本では人身売買は平然と行なわれていたのです。江戸時代から明治時代に変わり、文明開化は進んだものの、大正時代には社会格差も大きく広がりました。貧しい農村地帯では、口減らしのために女の子は売られていくことが少なくありませんでした。売られていくことは、親孝行とさえ考えられていました。そして、売られていった女の子たちの多くは、「遊郭編」の舞台となる吉原などで働くことになったのです。

 現在では人身売買は大っぴらには行なわれなくなったものの、経済的な弱者が性産業に従事せざるを得ないという社会構造は今も変わりありません。

 人と人との出会いは不思議です。カナヲが胡蝶カナエ・しのぶ姉妹と出逢っていなかったら、カナヲは吉原へと売られ、炭治郎とは違った形で遭遇していたかもしれません。カナヲの不幸な生い立ちを知った鬼舞辻無惨が近づき、鬼になっていた可能性もあります。

 鬼を倒す「鬼殺隊」の隊士たちと、人を喰う鬼たちは、紙一重の違いです。炭治郎も、もう少し早く家に帰っていれば、無惨によって殺されるか、もしくは禰豆子の代わりに鬼になっていたかもしれません。ほんとうに、ささいなことで人の運命は大きく変わっていきます。

 胡蝶カナエの言葉「きっかけさえあれば 人の心は花開く」は、カナヲにとって明るい予言となります。超ポジティブ思考の持ち主である炭治郎と蝶屋敷で再会したことで、カナヲは心を開くきっかけを得ることになります。

 人は人と出会うことで、その人の人生は大きく変わっていきます。人との出会いをプラスにできるか、マイナスの結果にしてしまうかは、その人のその後の人生の歩み方次第でもあります。出会いの素晴らしさを描いた『鬼滅の刃』の第1期「竈門炭治郎 立志編」は、これにて完結。炭治郎、善逸、伊之助たちは、より難易度の高い新しいステージへと挑むことになります。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記

(長野辰次)

【画像】迷った時、実際に投げられる! 栗花落カナヲの銅貨がネックレスに(6枚)

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