15周年『ダイヤモンド・パール』 バグ技に絶望した小学生を救った、任天堂の真心に感動
2021年9月28日、ニンテンドーDS用ソフト『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』が生誕15周年を迎えました。当時のユーザー間で大流行していたバグ技「なぞのばしょ」にまつわるエピソード、そしてソフトの修理受付を担当していた任天堂の真摯な対応について振り返ります。
魅惑的なバグ技に興味を惹かれた『ダイヤモンド・パール』

9月28日はニンテンドーDS用ソフト『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(以下、ダイヤモンド・パール)の発売日。早いものでリリースから15周年を迎えると聞き、小学校高学年の頃に本作をかじりつくように遊んでいた筆者も驚きを隠せません。
特に同年代(20代前半~後半)のリアルタイム世代にとっては、最もなじみ深い「ポケットモンスター」(以下、ポケモン)シリーズタイトルとして『ダイヤモンド・パール』を挙げる方々も大勢いるはず。11月19日(金)に待望のリメイク版『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』が発売されることもあり、現在進行系で話題を集め続けています。
例にもれず、筆者も『ダイヤモンド・パール』にのめり込み、今なお思いを馳せているシリーズファンのひとり。今回は発売当時に体験したバグ技に関する苦いエピソード。そして、任天堂の誠意あふれるサポート対応についてお話させていただきます。
「ポケモン」シリーズ4作目の『ダイヤモンド・パール』には、2021年の今もファンの間で語り継がれている怪しげな空間が存在します。その名も「なぞのばしょ」。ポケモンリーグの最初の部屋(リョウ)でなみのりをする・コトブキシティで自転車に乗ったまた特定ルートを行き来する……などなど、ある方法でしか侵入することができず、普通にプレイしているだけでは気付きにくいのが特徴です。なぞのばしょを利用するとチャンピオンと戦わずに殿堂入りを達成できるほか、「ダークライ」や「クレセリア」といった伝説級ポケモンを、正規のルートを通らずにゲットすることができたのです。
とは言え、なぞのばしょはバグ技の一種に過ぎず、当たり前ですがむやみに近づくことは推奨されていません。事実、なぞのばしょは単に突入しただけではほとんど効果を期待できず、「右に○歩、下に□歩、続けて左に△歩」という風に、正確に歩数を数えてキャラクターを動かす必要がありました。バグ技や裏技の宿命と言うべきか、口頭やネットの掲示板で伝播した情報はガセネタも多く、歩数を間違えた状態で「たんけんセット」(必須アイテム)を使い、誤った場所に出てしまう……なんて失敗に悩まされたユーザーも少なくなかったと思われます。
そうした”健全と言えない状況”を察知した任天堂は、2006年10月頃、「かべの中から戻れなくなる件に関するお知らせ」と題した公式ページを開設。「誤作動を起こしかねないバグ技の使用を控えて欲しい」、「バグ技が原因で不具合が生じた場合の対応」など、早い段階でユーザーに注意喚起を促していました。
しかし危険性が発覚したからと言って、全てのユーザーが一斉にバグ技から手を引くとは必ずしも言えないのが現実。筆者の周りでも「一面真っ黒の空間を通ればダークライが手に入る」、「真っ白い島のど真ん中でシェイミを見つけた」といった魅惑的なウワサが流行し、実際にバグ技を試みた友人の一人が「しんげつじま」(ダークライの生息地)へたどり着いたのを見て、止めておけば良いのに気付いたらポケモンリーグでなみのりを試している自分がいました。