『ワンピース』悲劇的すぎる脇役たち5人 出番は少ないのに、過去が重い…
2021年9月にコミックス100巻が発売された『ONE PIECE』では、登場キャラそれぞれがつらい過去を持ちながらそれを乗り越え、冒険を繰り広げています。過酷な運命を抱えているのは麦わらの一味やメインキャラだけではありません。本編での出番はそう多くないにも関わらず、つらい過去を持っているキャラもいます。
自分だったら耐えられない、脇役たちの過去

コミックス100巻が発売され、ますます勢いが増す「ジャンプ」の大人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』。主人公のルフィをはじめとし、メインキャラは一人ひとり丁寧にその背景が描かれています。また、過去の出来事が今の夢や生き方につながっているのも、物語の魅力のひとつです。また、麦わらの一味や主要な敵キャラ、物語に繰り返し出てくるような主要キャラだけでなく、出番がそう多くない脇役の過去が描かれていることも。この記事では、脇役キャラたちの背景の数々を紹介します。
※本記事には「ワノ国編」のネタバレを含みます。ご了承のうえお読みください。
●片足の兵隊さん(キュロス)
七武海・ドフラミンゴが牛耳る王国「ドレスローザ」で登場する、壊れかけのおもちゃ。序盤から何かわけありな言動を繰り返す、その正体はドレスローザの元リク王軍軍隊長で伝説と呼ばれた男・キュロスでした。最初はその強さが中心に描かれていましたが、回想では国を奪われた上におもちゃにされてその存在を娘にも忘れられただけではなく、最愛の妻が彼の存在を忘れたまま命を落とすという悲劇が描かれました。『ONE PIECE』のストーリーのなかでも特に悲劇的と言われている「ドレスローザ編」を象徴するような衝撃の過去を持つキャラです。
●トトおじさん
ルフィからは「カラカラのおっさん」と呼ばれていたアラバスタ王国の老人。かつては無人のオアシスだった土地「ユバ」を開拓し、発展させるも、クロコダイルの暗躍によって街に雨が降らなくなったことであたり一帯が一気に衰退。さらにはクロコダイルによるたび重なる砂嵐の襲撃に見舞われるという悲劇に遭います。息子のコーザを含む、周りの住人たちが反乱を企てるなかでひとり国王を信じ続け、ルフィたちがクロコダイルを倒すまでひたすら水を求めて砂地を掘り続けていました。昔はふくよかだった体形がガリガリになってしまったのも、その過酷な状況を物語っています。
●カン十郎
かつてワノ国の英雄だった光月おでん率いる「赤鞘九人男」のひとり。ですが、ルフィたちが討ち入りを仕掛ける際に、その正体が敵側から送り込まれたスパイであることが発覚します。ルフィ側や読者を一気に裏切ることになりましたが、実はその背景はかなり悲劇的です。迫害によって両親は舞台上で殺害され、舞台でしか生きる事を知らなかった彼はワノ国転覆の黒幕のひとりである「オロチ」に付け込まれ、「裏切者」という役を与えられるのでした。何者かを演じることでしか生きられないという、一種の職業病にとらわれているという、ある種被害者でもある彼。救われる方法はあったのでしょうか……。
●セニョール・ピンク
ドンキホーテファミリーの幹部で、サングラスを掛けた赤ん坊のような風貌の小太りの男。ハードボイルドな言動をするちょっとかっこいい変態キャラとして読者の目を引いていましたが、その恰好をしているのには意外な背景がありました。実は既婚者だった彼は息子を亡くし、そのことがきっかけで妻も植物状態に陥るという二重の悲劇に襲われていたのです。何を語り掛けても反応しない妻に対して、ある日ピケハットを被ってみたところ、わずかに笑顔を見せてくれたことがきっかけで、変態扱いされようとも気にせず赤ん坊の恰好をするようになるのでした。多くいる幹部のひとりにも関わらず、まさかの背景に衝撃を受けた読者も多いようです。
●ガイモン
東の海にある珍獣たちが住む無人島で、宝箱に挟まったままで生活する謎の男。元は海賊として活動していましたが、島で宝箱を取ろうと崖を登っている最中に落下。下に置いてあった空の宝箱に身体がはまってしまい、22年間もそのままで生活することを余儀なくされるという気の遠くなるような生活を今も続けています。しかもルフィたちとガイモンの話はなんとわずか1話のみ。この悲劇の男のエピソードがどんな意味を持つのか、これから明かされる日は来るのでしょうか……。
(ハヤサカコウキ)