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『鬼滅の刃』全23巻で炭治郎は何回「目が点になる顔」をするのか? 見えてきた変化

大人気マンガ『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎。表紙やポスターでは凛々しい表情をしていることが多いですが、原作では実にゆるんだ顔をすることもしばしば。一体「あの顔」が何回描かれているのか。その数の変化をストーリーと絡めてご紹介します。

最多は12巻…「顔」から『鬼滅の刃』の炭治郎の成長を読み解く!

(画像:写真AC)
(画像:写真AC)

『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)で一体何回、竈門炭治郎は「あの顔」をするのでしょうか。ポスターや表紙では凛々しい顔をしていることも多い『鬼滅の刃』の炭治郎。とはいえ作中ではなんともしまりのない、まるで適当に描かれたかのような表情もよく見せてくれます。炭治郎の「あの顔」……良いですよね。

 さて、なんともかわいらしい「あの顔」ですが、その登場回数の変化を追えば炭治郎の顔が物語を通してどれだけ“引き締まった”たかが分かるのではないか。本稿はそんな検証記事です。お付き合いいいただけたら幸いです。

 とは言いながら、「あの顔」の定義が難しいところ。厳密な条件は設けませんが、少なくとも(1)目が黒丸、(2)鼻がない、(3)輪郭が簡略化されている。これらの条件のうちふたつを満たしていれば「あの顔」ということにします。

 それでは数えて参りましょう。

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

 1巻は16顔。修行に入る前は「あの顔」を多発していた炭治郎でしたが、いざ修行、そして最終選別に入ると緊張感で激減。1巻の後半においてはほぼ確認できません。果たしてこの回数、仲間と出会ってどうなっていくのでしょう。2巻は17顔。鬼との戦闘が始まり、鬼舞辻無惨との邂逅もありましたが、浅草の人混みに翻弄されたり珠世さんの前で気が抜けていたりと、1巻を上回りました。続く3巻は20顔とさらに増加。そして4巻では31顔を記録。数を伸ばしたのは藤の花の家。我妻善逸と嘴平伊之助のテンションに巻き込まれるとどうにも「あの顔」になってしまうのが炭治郎の愛おしいところ。5巻ではなんと1顔という結果に。那田蜘蛛山の死闘ということもありますが、個々の戦闘能力に焦点が当てられ炭治郎の登場回数が減ったというもの大きな要因です。ところが続く6巻ではまさかの65顔を記録。増減の振り幅が最も大きくなるのはここです。蝶屋敷での機能回復訓練において大いに「あの顔」を披露。さらに7巻でも55顔。これも序盤の蝶屋敷でのものがほとんど。炎柱・煉獄杏寿郎が表紙の8巻はわずか9顔に留まります。ご存じの方も多いと思われますが、あんな顔していられる余裕などまずありませんでした。

 そして間もなくアニメが放送開始となる「遊郭編」を描いた9巻では本格的な戦闘に入る前ということで21顔。そして続く10巻では……ここまでで最少となる2顔。堕姫との緊迫したバトルが全話を通じて行われました。11巻は10顔と微増。戦局が終盤に差し掛かるあたりで目が(・ ・)となる回数が増えました。そして12巻ではここまで最多となる84顔。蝶屋敷での治療、そして刀鍛冶の里での恋柱・甘露寺蜜璃の登場で炭治郎の顔も、作中の雰囲気も弛緩しっぱなしです。反動なのか13巻ではわずかに3顔。そして14巻でも2顔。そして禰豆子に大きな変化が訪れる15巻では45顔といきなり増加。炭治郎が柱稽古を難なくこなしているとき「あの顔」が目立ちます。また岩柱・悲鳴嶼行冥の稽古から始まる16巻でも28顔を記録しました。

 ここまでノンストップで「あの顔」の回数だけで『鬼滅の刃』を振り返ってきましたが、ここからいよいよ物語もクライマックスに向かいます。果たして炭治郎の表情はどう変わっていくのでしょうか。上弦の鬼である童磨、そして猗窩座と強敵たちが立ちはだかる17巻ではわずかに5顔。それも回想シーンのみ。そして18巻では……ついに0でした。炭治郎が水柱・冨岡義勇と共闘するなど凄まじい成長を遂げた巻でもあります。これまでは護られていた下級隊員だった炭治郎がいよいよ鬼殺隊の主要戦力になった証拠と捉えても良いかもしれません。

 19巻でも5顔のみ。上弦の壱・黒死牟の過去が明かされる20巻も「あの顔」は0でした。このあたりから読み返すたび涙で視界がにじむため測定数に多少のブレが生じるかもしれませんが21巻も1顔。こちらの巻では炭治郎が鬼舞辻無惨に対し「お前は存在してはいけない生き物だ」とらしからぬセリフを放ちます。無惨と鬼殺隊の戦いが続く22巻でも0顔。比較的序盤の『鬼滅の刃』では戦闘中も多少のギャグがありましたが、そんな余地はもう残されていません。そして最終23巻は9顔でした。お疲れ様でした。

 23巻で「あの顔」の合計は429顔という結果でした。

 こうして見る限り、炭治郎の顔が最も多くゆるむ場所はやはり蝶屋敷。それも善逸や伊之助、カナヲらと過ごしているときが多いです。また回数だけでいえば12巻が最多。物語のちょうど中ほどから折り返すように炭治郎の顔が“引き締まって”いったということになります。23巻の長い長い戦いを終えて見せる「あの顔」にはこれまでとは全く違う尊さがあります。一番変わったのは読者の「あの顔」に対する印象かもしれません。炭治郎の「あの顔」、大好きです。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記

(片野)