TVアニメ『真の仲間』原作者ざっぽん先生に聞く、一大ジャンル「追放系」誕生の瞬間
TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の放送が、2021年10月6日から始まります。原作は、「追放系」ジャンルの原点といわれる作品です。原作者のざっぽん先生に、アニメ化への期待について聞きました。
優しさが「追放系」という新ジャンルを生み出した
TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(通称『真の仲間』)が、2021年10月6日(水)から放送開始します。原作は、小説投稿サイトの最大手「小説家になろう」から誕生した作品で、Webノベル界を席巻する「追放系」というジャンルの原点にして頂点といわれています。
アニメ化の発表前に、小説とマンガ版の合計売上が100万部を超えるなど、ライトノベルファンを中心に高い人気を集めています。原作『真の仲間』を生み出した小説家・ざっぽん先生に、作品の魅力やアニメ化への期待について聞きました。
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──『真の仲間』がどのような物語なのか、先生からご紹介をお願いできますか?
ざっぽん先生(以下、ざっぽん) 『真の仲間』の舞台は、中世ヨーロッパをイメージしたファンタジー世界です。主人公のレッドは、RPG(ロールプレイングゲーム)ファンにはおなじみだと思いますが、勇者の旅立ちと成長をサポートする役割を担う、序盤だけ強いお助けキャラです。
そのレッドが、勇者が成長すると用済みとされ、魔王を倒すためのパーティーから追い出されてしまいます。失意のうちに辺境の地にたどり着き、薬屋を始めた彼のもとに、かつての戦友でもあるお姫様のリットが押しかけてきます。そうして同居生活を送ることになったふたりが、平和なスローライフを始めるという物語です。
──RPGのお助けキャラを主人公にするという着眼点に惹かれました。発想のきっかけとなるものはあったのでしょうか?
ざっぽん 不遇な主人公がさまざまな過程を経て報われていく物語を、当初から想定していました。だったら主人公はどんなキャラクターにすべきだろうと考え続けていた時、あるRPGのRTA実況動画(※リアルタイムアタック=いかに短時間でクリアするか実況しながらゲームを紹介する動画)を目にしたんです。その実況者さんが、お助けキャラに対して、それはもう辛辣で(笑)。だったら、真の仲間ではないと嘲(あざけ)られながら勇者パーティーから追い出されてしまうキャラクターを、自分の物語で主人公にしてあげようと思ったのです。
──不遇なキャラクターが報われて欲しいという先生の優しさが、Webノベル界で一大ジャンルになっている「追放系」の始まりだったのですね。
ざっぽん 『無職転生』や『盾の勇者』のような作品も、物語の始まりで主人公が不遇な立場にいることは共通しています。ですので、『真の仲間』が新しいジャンルを作ったというのは、大変ありがたいですが過分な評価だとは思っています。ただ、読者の皆さまに楽しんでいただける物語の構造のようなものは、幸運にも共通していたのかもしれませんね。