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TVアニメ『真の仲間』原作者ざっぽん先生に聞く、一大ジャンル「追放系」誕生の瞬間

『ドラゴンクエスト』の影響と作品のテーマ

TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』キービジュアル
TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』キービジュアル

──『真の仲間』でとても印象に残るのは、ライトノベルに特有とも言える中世ヨーロッパ風のファンタジー世界が単なる舞台装置にとどまらず、登場人物それぞれの運命にまで密接にからみ合っている点です。こういった設定の作り込みに関して、影響を受けた作品などはあるのでしょうか?

ざっぽん もちろん、読んできた本や見てきた映像作品の影響はあると思います。とりわけ大きいのは、「ドラクエ」シリーズでしょうか。「ドラクエ」のような世界が本当に存在するのだとしたら、その歴史的な成り立ちはどうなっているのか。そこに暮らしている人びとは何を思い、どんな人生を歩んでいるのか。折に触れて考えていたことが、『真の仲間』の創作につながっている気はします。

──『ドラクエ』の物語では、世界を救う「勇者」という存在の意味や位置づけ自体が、テーマとして取り上げられることが多くあります。

ざっぽん その点はまさしく、『真の仲間』でもテーマとして掘り下げてみたかったことです。勇者という存在を、魔王以上に力を持って異世界で思うままに振る舞う悪として描く作品も、ライトノベルには多くあります。それはそれで優れたエンターテイメントではありますが、私にとって勇者というのは、今ここにいる自分自身を仮託した分身です。だったら、自分自身の運命や世界について、勇者はどんな意図を持ち、どのように葛藤し、どう行動するものなのか。それを考えた結果が、アニメでも形になっていると思います。

──『真の仲間』では、「スローライフ」の部分にも、単なるイチャイチャ恋愛生活を描くのではない、それぞれの登場人物にとっての深い意味があります。

ざっぽん 理想の生活を描写するだけにとどまらない、作品全体のテーマにつながる想いを意識しました。幸せな暮らしを送ること以上に、自分自身の意思によってそれを求める気持ちや行動こそが、より大切なのではないでしょうか。そういった登場人物の想いを、今という大変な時代を生きている読者の皆さんに、少しでも感じ取ってもらえると嬉しいですね。

(取材/構成:香椎 葉平)

※『真の仲間』の魅力とアニメ化への期待について、ざっぽん先生に聞くインタビュー後編は[こちら]

(C)ざっぽん・やすも/KADOKAWA/真の仲間製作委員会

※TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』は、2021年10月6日(水)より、AT-X(22:30~)、TOKYO MX(23:30~)ほか、BS日テレ、KBS京都、サンテレビで放送予定。dアニメストアでも独占配信されます。

【画像】次なる夢は薬草屋!人生の転機にお姫様が現れて…?『真の仲間』第1話(10枚)

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