特撮スーツアクター・3レジェンド!仮面の下で闘志を燃やす悲しき影武者
特撮番組の主人公がヒーローに変身! 子供の頃はその主人公がヒーローの中に入って戦っていると思っていました。しかし、実際はスーツアクターという別の役者が主人公のように振る舞っていたのです。
顔は映らないが主役は俺だ! スーツアクターの誇り高き役者魂

2021年9月から放送中の『仮面ライダーリバイス』の主役スーツアクターは、「永徳」さんと分かりファンは沸きました。今でこそ「スーツアクター」というポジションが知れわたり、戦隊シリーズなどでも俳優の名前が公表されるようになりましたが、昭和の第2次変身ヒーローブーム時代(1971~74年ごろ)は、“着ぐるみ役”などと呼ばれ、いわば裏方扱いでした。それが今やスーツアクターを目指してアクションに勤しむ役者もいるほどになっています。
まず、スーツアクターとはどれだけ過酷で、ある意味悲しい俳優業か少し触れたいと思います。変身ヒーローは変身する前の素顔の姿の役者が主役で、変身した姿に役者の声がアテレコされることもあります。かつて、初代仮面ライダー・本郷猛役の藤岡弘、さんは変身後も自らコスチュームを着ていたために、ロケ中に大けがをしました。これをきっかけにスーツの“中の人”を専門俳優にしたエピソードは有名で、スーツアクターの過酷さを物語る出来事です。
仮面のなかは視界が悪く音も聞きにくい。コスチュームは通気性が悪く薄いので夏は極暑、冬は極寒。肘や膝にガードはないのに岩場や水辺で飛び跳ね転がり、高所や火薬に怖がるそぶりも見せずスタント、アクションをカッコ良く決めなくてはいけない…。そんな命がけの仕事なのに、もしケガをしても顔が見えないから代わりは探せます。スーツアクターとはそんな悲しき影武者なのです。
しかし、それほどのハードワークだからこそ、スーツアクターは今やアクション俳優が目指す花形にもなっているとか。今回はそんなスーツアクターからレジェンド3人を紹介します。
ミスター平成ライダー・高岩成二

高岩成二さんは、身長175cm、ジャパンアクションエンタープライズ所属の俳優・スーツアクターです。
30代くらいの若いお父さん世代が見て育った仮面ライダーはだいたい高岩成二さんがスーツアクターとして演じていました。『仮面ライダーアギト』から『仮面ライダージオウ』までの18作品で、『仮面ライダー響鬼』を除く17作品で主役を演じ、またスーパー戦隊シリーズでも『忍者戦隊カクレンジャー』のニンジャレッド役など7作品でレギュラー起用されるなど、平成にテレビ・映画のヒーローアクションを制作する際は「まず高岩を抑えろ!」と言われるほどの人気だったそうです。
高岩さんは、変身前と変身後のキャラクターをいかに同一人物見せるか研究していることを著作「時は今– 歩み続けるその先へ ACTion」で述べています。例えば『仮面ライダー電王』では、モモタロス、ウラタノスなど複数キャラクターの全フォームをひとりで見事に演じ分け、その名声を高めました。「スーツアクター」という呼称は高岩さんが高い演技力を発揮したからこそ使われるようになったと言われています。