【シャーマンキング30周年への情熱(47)】巫力の「数値化」がもたらす大きなデメリットとは?
2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第28話では、巫力が数値化されることについてほとんどのシャーマンが知らないことが描かれました。それには、シャーマンならではの深い理由があったのです。このほかいくつかの見どころについて、内容を振り返ります。
巫力の数値化がシャーマンにもたらす最大のデメリット

2021年10月21日(木)放送のTVアニメ『シャーマンキング』第28話は、「巫力(ふりょく)の数値化」という概念についての説明から始まりました。巫力を数値化して測ることができるのは、パッチ族とハオ一派のみだと語られています。視聴者である私たちはあまり気にしていなかったと思いますが、ほとんどのシャーマンはそのことを知らなかったようです。
教えられていない理由は、巫力値を知ってしまうとそれが自分の限界だと決めつけて成長を止めてしまうからだ……と語られています。前回、葉の父・麻倉幹久が「歳を取ると天井に気付く」ということを述べていましたが、巫力値を知ることは年齢などに関係なく、シャーマンに天井を突きつけてしまうことになるというわけですね。
劇中では常々「シャーマンは思いひとつ」と語られてきましたが、シャーマンの能力が巫力の大きさで決まるのなら”思い”と巫力は密接に結びついています。気持ちの持ち方ひとつで巫力値も変化する可能性があるのに、数値を知ったとたんその気持ちが固定されてしまうのは致命的ですね。
敵が自分の10倍の巫力値を持っていたとして、そこで敵わないと決めつけてしまったらその通りになるでしょう。もちろん強い思いさえあれば勝てるという単純な話ではないでしょうが、自分で可能性の芽を摘んでしまうのが、巫力値を知ることの最大のデメリットだというわけです。
バトル作品で能力を数値で表現することの代表格といえば、鳥山明先生の作品『ドラゴンボール』のスカウターに示される「戦闘力」だと思いますが、考えてみればスカウターも計測した瞬間の値を出しているだけで、修行や気持ちの持ち方で増減するものでした。
このスカウターシステムはとても便利な設定ですが、シャーマンは”思いの力”に能力が左右されるスピリチュアルな存在という設定に深みを持たせるため、「自分の巫力値は知るべきでない」ものとした点は新鮮だったと思います。
さて自分の巫力値を知ってしまったホロホロたちが今後どのようにそれを乗り越えていくのでしょうか。葉にこぼした悔しい気持ちはただの愚痴になるのか、自分を奮い立たせるきっかけとなるのか。巫力値を知ろうが知るまいが「シャーマンは思いひとつ」の原則は何も変わっていないので、彼らの今後を見守っていきましょう。