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懐かしギャグマンガの感涙必至エピソード3選 意外なところで泣かされる!

ギャグマンガと言えば笑い満載のはずなのに……。なかには、意外なところで泣かされてしまう作品があります。笑いで免疫力がアップし、涙でリラックスできる、懐かしいギャグマンガ3作から感涙必至のエピソードをご紹介します。

ギャグマンガの巨匠はホロリと泣かす

 ギャグマンガと言えば笑い満載のはずなのに、なかには意外なところで泣かされてしまう作品があります。笑いで免疫力がアップし、涙でリラックスできる「泣けるギャグマンガ」は、この不安な時代に生きる心のよき処方箋になってくれるのではないでしょうか? この記事では、あらためて作品の深さに触れられる、懐かしいギャグマンガ3作の泣けるエピソードをご紹介します。

●バカボンのピュアさに泣かされる『天才バカボン』

著:赤塚不二夫『天才バカボン』電子版第9巻(小学館)
著:赤塚不二夫『天才バカボン』電子版第9巻(小学館)

 ギャグマンガの巨匠・赤塚不二夫先生の作品のなかでも、ナンセンスギャグの宝庫と言えば『天才バカボン』です。描かれているのはバカボン一家が暮らす町内の日常生活なのですが、そこで繰り広げられるのは、バカボンパパとバカボンを中心としたハチャメチャワールド。さらに脇キャラたちも親子と同じくらい常識外れで騒ぎを大きくするので、読者はいつも異次元に飛ばされてしまいます。

 そんな『天才バカボン』ですが、のんびり屋でちょっと抜けているバカボンのピュアさには、時に泣かされます。たとえば、ママが赤ちゃん(後の弟・ハジメちゃん)を生むために入院している時のこと。バカボンは赤ちゃんの誕生が楽しみで楽しみで仕方がありません。そして、いじめられると「ぼくはいいけど うまれてくる赤ちゃんがやられたらどうしよう」と考え、パパと一緒にボクシングを習いに行くのです(でたらめコーチの詐欺ボクシングですが……)。

 赤ちゃんは予定日を過ぎても何週間も生まれてきません。実は生まれそうになるたびに,パパやお医者さんの大声で赤ちゃんが驚いてひっこんでしまっていたのです。

 待ちわびたバカボンは、受話器を手にし、コードの先をママに持ってもらうとお腹の赤ちゃんに話しかけます。「赤ちゃん ぼくたちたのしみにまってるんですよ 早くうまれておいでね!」このピュアな優しさに、思わず涙してしまいす。

●ひろしとピョン吉の絆に泣かされる『ど根性ガエル』

ドラマ『ど根性ガエル』オリジナル・サウンドドラック(バップ)
ドラマ『ど根性ガエル』オリジナル・サウンドドラック(バップ)

 吉沢やすみ先生の『ど根性ガエル』は、アニメやドラマにもなった名作ギャグマンガです。中学生のひろしが転んだ拍子にTシャツに張りつき、この世で一匹の「平面ガエル」になってしまったカエルのピョン吉は、以来、人間界で生きていくことになります。と、物語の始まりはファンタジーですが、そこからはピョン吉を中心にしたご近所物語。ピョン吉は相棒のひろしと毎日騒がしく楽しく暮らしていくのです。

 そんな『ど根性ガエル』にも感涙必至のお話があります。立体ガエル(普通のカエル)と話して自由や自然が恋しくなったピョン吉は、タイミング悪くひろしが自分を置いて出かけたことを知って激怒。邪魔だと思っているならシャツから出せと泣きわめき、ひろしと大げんかになってしまいます。

 そんなにお互いが嫌ならと、担任の南先生がピョン吉を分離させる機械を作りTシャツを入れると……機械のなかからは真っ白なTシャツと1匹のカエルが。普通のカエルに戻って人間の言葉が通じなくなったカエルは、ひろしの呼ぶ声も分からずに去って行こうとするのです。この時のひろしの気持ちを思うと鼓動が激しくなるほど、切ないシーンです。結末はぜひ、読んで確かめてみてください。

笑いと涙が同時にこみあげる傑作

●おさるの兄弟愛に泣かされる『モンモンモン』

「週刊少年ジャンプ」で1992年から1993年にかけて連載された『モンモンモン』は、『みどりのマキバオー』の作者・つの丸先生の連載デビュー作です。

 おさるのモンモンが、弟モンチャックと大騒ぎしながら生きていく姿を描くギャグマンガなのですが、兄弟は常に鼻をたらしているし、おならやうんこなど小学生が喜びそうなお下劣ネタが満載(というより、だらけ)ですし、ストーリーも力業の連続です。たとえば他のさるたちが行動を勝手に深読みしてくれたおかげで極悪ざるのトップに君臨したり、なりゆきで素人なのに競馬の騎手を務めることになるも怖さのあまり失神したまま走ったら、手綱に振り回されて1着ゴールしたりなど……。

 一見、涙とは無縁に思えるマンガですが、実はいたるところに兄弟愛と家族愛がちりばめられています。兄弟は常にお互いを思ってかばい合って、かばい合いすぎてケンカをしたり。弟のモンチャックは生き別れた父と出会って境遇を語り合うも、お互いに全く気付かずに別れたり。そして最終話は、良質な映画のラストのように幕を閉じるのです。読者は胸にこみ上げるものを感じながらそれでも笑ってしまうという、ある意味最強の泣けるギャグマンガではないでしょうか。

(古屋啓子)

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