悪の仮面ライダーが味方になったら「お笑い要員」に? 異常なブラコンまで登場
平成仮面ライダーシリーズで定番の、中盤の強敵として登場する悪の仮面ライダーたち。そのなかにはさまざまな事情から、頼もしい味方となった仮面ライダーもいました。しかし、それまでの悪事を帳消しにするかのように笑いに走ったキャラクターになることもあったのです。いきなり「お笑い要員」になった元・敵仮面ライダー3人を紹介します。
「お笑い要員化」で人気が爆発、前代未聞の仮面ライダー

平成以降、仮面ライダーシリーズは1作品のなかで多くの仮面ライダーが登場するようになりました。それゆえに、さまざまなタイプのライダーが存在します。メインとなる主人公の仮面ライダーに対し、その相棒的ポジションの仮面ライダーは、昭和シリーズに合わせて「2号ライダー」と呼ぶ人もいました。他にも敵味方、さまざまな立ち位置の仮面ライダーがいます。
そのなかで筆者がいつも注目しているのが、物語中盤に最強の敵として登場しながらも、最終的には味方になる仮面ライダーです。本来は「あれほど強かった敵が味方になって心強い」となるはずのキャラクターが、近年ではなぜか「キャラ崩壊」かと思うほど性格や行動が変わって、味方側の「お笑い要員」になってしまうのです。そんな風に思ってしまうのは筆者だけではないかもしれません。
今回は、そんな憎々しい敵キャラから、愛される味方キャラへと変身した3人のライダーをご紹介します。
まずは『仮面ライダーエグゼイド』に登場した檀黎斗(だんくろと)こと仮面ライダーゲンム。「お笑い要員になったライダー」と見た瞬間、頭に思い浮かべた人も多いことでしょう。そのインパクトは絶大で、のちに他の仮面ライダーシリーズにも登場し、他作品の仮面ライダーと共演している人気キャラです。
最初は味方のふりをして動いていた悪役のひとりで、敵として倒された後、味方として復活した時は「新檀黎斗」と名乗り、さらに最終的に「檀黎斗神」と自称するなど、終始フリーダムな性格で物語にも影響を与えました。
そんなゲンムの魅力は設定やキャラクター性以上に、演者である岩永徹也さんの演技力によるところが大きいのではないでしょうか。作品序盤での協力者としての理知的な演技から、事件の黒幕として表に出てきて以降の狂気的な演技、その後いつ裏切るかわからないながらも味方になってからのオーバーな演技、さまざまな面を見せて視聴者を引きつけ、主人公以上に注目されていたと思います。
岩永さんのエキセントリックな演技をきっかけに、スタッフもクールな二枚目を想定していたキャラを暴走させたとコメントしています。岩永さんの演技力の高さが檀黎斗というキャラを生き生きとさせるきっかけになったのでしょう。
放送中から人気が高かった仮面ライダーゲンムは、岩永さんの声が入った「新檀黎斗ver.」の変身ベルトが限定販売されたり、放送後に本来はイラストを使用しているTCGの「バトルスピリッツ」で、スチルを使ったカードとして登場したりと、異例のグッズ展開もされました。さらに「S.H.Figuarts」シリーズで変身前の姿のフィギュアまで発売されたことは、仮面ライダーシリーズはもちろん、他の特撮作品でもあまり例のないことでした。
また、岩永さん自身も檀黎斗の人気に後押しされて、役者としてだけでなくバラエティやクイズ番組でも活躍しています。クイズの回答者として答える姿は、序盤のまだ普通だった頃のクールな檀黎斗を彷彿とさせるものでした。
このように、ある意味ネタキャラとして存在感を示した檀黎斗ですが、実の親がラスボスという、主人公のような重い設定もあることを忘れてはいけません。彼もれっきとした仮面ライダーとしての宿命を背負っているのです。