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『機動戦士ガンダム』33話「コンスコン強襲!」やるせない思いと激しい撃ち合いが錯綜する

1979年11月17日は、『機動戦士ガンダム』第33話「コンスコン強襲」が放送された日です。シャア・アズナブルによる追撃とドレン艦隊との交戦により損傷したホワイトベースは、中立国家サイド6へと逃げ込みます。ジオン軍の攻撃の手は緩むことなく、コンスコン機動艦隊と12機のリック・ドムがホワイトベースを狙うのですが……。

サイド6に渦巻く人間模様

TVアニメ『機動戦士ガンダム』と劇場版では、ともにコンスコン部隊とホワイトベース隊の戦いが描かれるが、展開で異なる部分もある。画像は「機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編」劇場版DVD(バンダイビジュアル)
TVアニメ『機動戦士ガンダム』と劇場版では、ともにコンスコン部隊とホワイトベース隊の戦いが描かれるが、展開で異なる部分もある。画像は「機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編」劇場版DVD(バンダイビジュアル)

『機動戦士ガンダム』第33話「コンスコン強襲」は、12機のリック・ドムが3分も経たずに全滅したことで有名な回です。しかし、実は冒頭でブラウ・ブロが初登場を果たしており、ホワイトベース隊と交戦している回でもあるのです。ただしこの時のパイロットはシャリア・ブル大尉ではなくシムス中尉で、少々の交戦の後に機体の大半を失い、右ブロックのみが離脱しています。

 その後、サイド6に入港したホワイトベースですが、ミライ・ヤシマの元婚約者のカムラン・ブルームが監察官として登場したことにより、人間関係が一気に紛糾します。ミライは一見地味に見えますが、ブライト、カムラン、スレッガー、3人の男から愛を向けられており、作中で最もモテている女性なのです。やはり厳しい戦いのなかではミライの醸し出す、包み込むような母性が男心をくすぐるのでしょうか。

 一方アムロは、サイド6の散策中に行方不明となっていた父テム・レイの姿を見出します。再会かなった親子でしたが、テムは宇宙を漂流する間に酸素欠乏症を患い、すでにかつての面影を失っていたのです。テムから渡された旧式の回路を投げ捨てるアムロの叫びは、父も、母も自分の手が届かない世界に行ってしまったことへの慟哭だったのかもしれません。

 しかし、状況はアムロの悲しみを癒す時間など与えてはくれません。浮きドックで修理を行うことになったホワイトベースでしたが、コンスコン艦隊に動きを察知され、戦闘になってしまうのです。コンスコン機動部隊の戦力はチベ級重巡洋艦1隻、ムサイ級軽巡洋艦2隻、そしてリック・ドム12機。ホワイトベース隊の戦力は損傷したホワイトベース1隻にガンダムとガンキャノン、Gファイターが2機、コアファイター1機と、絶望的な戦力差がありました。

 初期のガンダム資料本ではコンスコンを無能と書いていたものもありましたが、こうしてみるとジオン側が3倍近い戦力差で損耗した小部隊に襲いかかろうとしていることがわかります。コンスコンはきちんと勝てるだけの手はずを整えているのです。

 単に、ニュータイプとして覚醒したアムロ・レイの存在が、あまりにもイレギュラーだったということでしょう。

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