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角川映画祭で上映の傑作SF『ファイブスター物語』と『戦国自衛隊』が残した逸話

自衛隊が戦国時代で発砲、「逸話」を残した戦車も

●戦国自衛隊

映画『戦国自衛隊』で、千葉真一演じる伊庭陸尉の場面 (C)KADOKAWA 1979
映画『戦国自衛隊』で、千葉真一演じる伊庭陸尉の場面 (C)KADOKAWA 1979

 作家・半村良氏が1971年に発表した原作をもとに製作され、1979年の年末に公開されたのが千葉真一氏主演の『戦国自衛隊』です。千葉氏演じる伊庭義明三等陸尉以下、21名の陸上自衛官及び海上自衛官は、突然発生した超常現象に巻き込まれ、補給地ごと戦国時代へとタイムスリップしてしまいます。

 長尾平三景虎(史実では後の上杉謙信)と遭遇した伊庭たちでしたが、自分たちがタイムスリップした事実を受け入れ切れずにいた状態で景虎と敵対する軍勢の襲撃を受け、死者を出してしまいます。否応なしに戦国時代にいることを受け入れざるを得なかった伊庭でしたが、動揺した部下たちは次々に落伍してしまうのです。

 錯乱して仲間に殺されるもの、無断で隊を離れ殺されてしまうもの、戦国時代で生きる覚悟を決めたもの、クーデターを起こそうとして村々を荒し、射殺されるもの。

 それぞれがそれぞれの決着を迎えるなか、伊庭は近代兵器を使って戦国の世で天下を取り、現代に戻ろうと画策します。川中島で武田信玄の軍を打ち破り、京都へ向かおうとした伊庭でしたが、頼みの近代兵器は武田軍の肉弾戦法により次々と失われてしまいます。

 ヘリコプターは乗り込んできた武田勝頼により搭乗員を殺害され墜落。戦車も装甲車も動きを封じられた伊庭は、馬を奪い本陣に切り込み、信玄と勝頼を討ちとります。しかし銃以外の近代兵器を失い、多くの隊員も戦死。わずか6人にまで減らされた自衛官たちは、もう使えなくなった戦車を湖底に沈めて荒れ寺へと身を寄せ、最期の時を迎えるのでした。

 本作を語る際にしばしば語られるのが、作中に登場する「61式戦車」です。実に見事な車両ですが、自衛官が日本人に武器を向けるという作品の性質上、自衛隊の協力を得ることはできず、レプリカが製作されました。

 この61式戦車は本作の撮影終了後にも映画『僕らの7日間戦争』やドラマ『さとうきび畑の唄』(米軍戦車役)などでも登場しており、テレビ特番の『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』などにも姿を見せています。2019年の時点では国内某社で保管されており、イベントでの貸し出しも行われているそうです。

(早川清一朗)

※「角川映画祭」は、2021年11月19日(金)より、EJアニメシアター新宿、テアトル新宿、ところざわサクラタウン・ジャパンパビリオンホールBで上映予定。12月17日(金)より、シネ・リーブル梅田でも上映予定です。上映スケジュールなど詳細は各劇場の公式サイトなどをご確認下さい。

【画像】懐かしさと興奮がスクリーンで蘇る!『ファイブスター物語』『戦国自衛隊』のシーン(8枚)

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