ドラマ『ハンオシ』が話題、「契約恋愛マンガ」3選。「結婚=ゴール」ではない世相を反映?
相手のことは好きじゃない。利益のために結婚しただけ……なのに、どんどん相手のことが気になり初めて……? 放送中のドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』が人気を集めるなど、近年「契約恋愛マンガ」が支持を集めています。その背景とおすすめ作品について、総合電子書籍ストア「ブックライブ」書店員が解説します。
「禁断の恋愛」スパイスも効いた、むずキュン要素が読者を魅了
『着飾る恋には理由があって』『私の家政夫ナギサさん』など、話題作の多いTBSの火曜22時ドラマ。今季は清野菜名さん演じるイマドキ女子と、坂口健太郎さん演じるハイスペ男子の偽装結婚を描いた『婚姻届に判を捺しただけですが』が話題です。
マンガ作品でも、「期間限定で妻(彼女)のフリをする」あるいは「恋愛感情を交えない約束での偽装結婚」のはずが、徐々に心を通わせて両想いに……? となる「契約恋愛マンガ」が支持を集めています。女性マンガのエキスパートであり、総合電子書籍ストア「ブックライブ」でマーケティングを担当する「書店員えい子」が、「契約恋愛マンガ」流行の背景と代表的な作品について紹介します。
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「期間限定で妻(彼女)のフリをする」といった設定自体は、もともと少女マンガでも人気のシチュエーションのひとつでしたが、最近は『婚姻届に判を捺しただけですが』のドラマ化など、 「契約恋愛」モノの社会的なブームを感じています。
かつて「結婚」は女性にとってのゴールとされてきましたが、最近では「ふたりの新たな関係のスタートである」という認識がすっかり浸透してきました。女性もフルタイム勤務が当たり前になっている現在、目まぐるしく過ぎる日々のなかで、タイミング次第では出会って即交際が始まり、数か月程度で結婚に至るケースも珍しいことではありません。
そんな現代において、関係の浅い男女が恋愛感情を深める前に共同生活を始め、お互いを尊重しながらともに歩むためのルールを作ったり、生活がうまくいかないときにどうやって解決していくべきか悩んだりする物語に、共感が集まりやすくなっているのではないでしょうか。
また、昔から「禁断の恋愛」は誰もが惹きつけられるもの。教師と生徒など、タブーな関係の恋愛を描いたマンガは数多くありますが、昨今はモラル的な面から減りつつある印象です。契約恋愛にはそんな「禁断の恋愛」のスパイスも含まれています。
お互いに相手のことを好きではないからこそ始めた契約恋愛、偽装結婚という関係。けれど、一緒にいる時間が多くなるうちに相手の良さを知って、気になっていく……そんな過程を楽しみながらも、「今さら自分の気持ちに素直になれない」「今の居心地のいい関係を壊したくない」という主人公たちの葛藤に、読者は「(ふたりとも)早く素直になれよ!」とじれったさを感じながらも胸キュンしてしまう、いわゆる「むずキュン」を感じてハマっていると考えられます。
続いて、書店員えい子おすすめの「契約恋愛マンガ」3作品を紹介したいと思います。