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『こち亀』過激すぎた? 差し替えられた幻の1話と「二度と読めない」完全封印作

約40年でコミックス201巻! 子どもから大人まで愛されている『こち亀』に、今は幻となった1話と二度と読めそうもない1話があります。どんな話で、封印されたのにはどんな理由があるのでしょうか?

国民的マンガだけど、実はけっこう過激!

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第4巻、正しくは不明だが1992年くらいから1話だけ差し替えられている 画像は電子版(著:秋本治/集英社)
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第4巻、正しくは不明だが1992年くらいから1話だけ差し替えられている 画像は電子版(著:秋本治/集英社)

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)は、1976~2016年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されたロングヒット作品です。コミックス全201巻は「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として、2021年に『ゴルゴ13』に抜かれるまでギネス記録に認定されていました。

●第4巻に何があったのか!?

 今も人気の『こち亀』ですが、ネットオークションサイトを見ていて「なんで!?」と驚くことがありました。古い第4巻だけが、定価の10倍以上の高値で取引されているのです。なぜレア物になっているのでしょう? その理由は、「1エピソードだけ内容が差し替わっているから」でした。

 およそ30年前の1990年代初頭に、それまで第4巻に収録されていた「派出所自慢の巻」が削除され、新たに“書き下ろし番外編”「野球狂の男の巻」に替わりました。当然、なぜ「派出所自慢の巻」はお蔵入りになってしまったのか気になりますよね。実際に読んでみると、なんとなく理由が分かりました。

「派出所自慢の巻」は、「週刊少年ジャンプ」1977年第16号に掲載されました。コミックスの初版は1978年2月です。

 内容は……主人公の両津と相棒の中川が埼玉県の派出所に補欠勤務を命じられます。そこは県境にあることから「国境警備隊」という俗称がありました。ふたりが派出所に入ると、銃剣、旭日旗、手榴弾、大日本愛国婦人会の札などがあり、そこはまるで旧日本軍を思わせるかの様相です。これは派出所班長の趣向によるもので、班長は部下たちを軍人のように扱い、しごきます。そんな班長に両津・中川は従うはずもなく、軍隊のノリだけならって悪ふざけを続けます。最後は班長と対決となり、ライフルを乱射、手榴弾投下、ついには戦車まで飛び出してムチャクチャな展開に。悪ふざけがすぎるセリフもありました。

 ……空気が伝わったでしょうか。昔はさほど問題なかったかもしれませんが、時代の流れでデリケートな部分に触れる内容になってしまったため、増版する際に見直しをして出版社側が自粛したか、あるいは読者から指摘を受けるなどあって削除に至ったのではないかと思われます。

 ただ、初期の『こち亀』はかなり内容が過激なエピソードも多く、おなじみの登場人物もほぼ全員やることがぶっとんでいたのはファンなら周知の事実です。また、4巻で1話をまるごと差し替えというケースは珍しいでしょうが、『こち亀』に限らず、時代の流れに合わせてセリフを変更するケースは少なくありません。

●もう1話、なぜ封印されたのか謎なエピソード

『こち亀』は全201巻に1900話以上が収録されていますが、もう1話、コミックスに収録されていない完全な「お蔵入り作品」があります。タイトルは、「帰ってきたあの男の巻」。2012年ジャンプ第30号掲載なので186巻に収録されるはずでした。星逃田(ほしとうでん)という珍しいキャラが登場する話なので内容もレアです。おそらく二度と世に出ることはないでしょう。しかしファンの間でもお蔵入りの理由が謎とされています。女装したコマが、あるアニメ作品を茶化したと受け取られるから? など憶測だけ飛び交っています。

「ジャンプ」で通常連載された『こち亀』で、コミックスではもう読むことはできないであろう作品は、この記事でご紹介した2エピソードとされています。

 連載が終わって約5年経過しますが、ときどき特別編が掲載されることもあるので、話数が貯まれば202巻発売もあるのではないでしょうか。『こち亀』はまだまだ終わらないかもしれません!

(石原久稔)

【画像】『こち亀』絵柄の変化を比較

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