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『ジョジョ』荒木飛呂彦先生の奇妙な伝説3つ 「不老」の理由とは?

『ジョジョ』キャラはすべて生きている

●キャラクターを作り上げすぎてピンチに陥った

「ジョジョ」シリーズの醍醐味は、次々と現れる難敵をいかにクリアしていくか、その戦いぶりにあるでしょう。絶体絶命のピンチを切り抜ける奇想天外ともいえるアイデアの数々に、ファンは毎回度肝を抜かれるのですが、先生によるとそれは「キャラクターが自然に着地」しているだけなのだそう。

 そんなことが起こるのも、荒木先生が生真面目に、キャラクターをしっかりと作り込んでいるからです。一人ひとりに性格、口癖、好きな食べ物など60項目以上の身上調査書を作ってから描き始めるため「キャラクターの性格とかが決まっていると、もうある方向にしかお話が進んでいかないんですよ。決定されているんですね、描く前から」と語るように、それぞれに命が吹き込まれているのです。

 綿密に作り上げたキャラ同士の戦いだからこそ、時には先生の思惑を越えてしまうこともあるそうです。その代表的な戦いが、第4部「ダイヤモンドは砕けない」編での、仗助と吉良吉影との最終決戦。あまりにも吉良が強すぎて、さすがの荒木先生も「これ、主人公が負けるかも」と思ったそうです。「どうするんだろう? どうしたらいいんだろう?」と作者でありながら焦ったようですが、最終的に勝てた理由は「死に物狂いでどうしようと考えたから」。その瞬間は、まさに仗助と一体化して先生自身が戦っていたのでしょう。

 ちなみに、どんなに窮地に陥ろうとも「ジョジョ」の世界では神風が吹いて勝つということはありません。荒木先生いわく「すべてジョジョたち人間が考えたり頑張ってつかんでいくもの。それがジョジョの絶対的ルール」だからなのだそうです。

●妻をもビビらせたジョジョの擬音

「ジョジョ」シリーズの魅力のひとつには、独特の擬音使いがあります。それ自体が生き物のような躍動感のある書き文字で「ドドドド」「バギャドギャ」「ドバババァァ!」などと描かれ、唯一無二の「ジョジョ」ワールドをかもし出しています。なぜこんな手法が生まれたのか、荒木先生によると映画の影響が強いのではないかということです。映画のシーンに効果音や音楽がついているように、この場面にこの音がほしいと思ったらそれを文字にしているだけで、特に意識したことではないのだそうです。

 映画と音楽が大好きな荒木先生らしいごく自然な表現とのことですが、執筆現場はかなり激しいことになっているそう。妻の証言によると、仕事場にお茶を持って行ったら先生が「ドヒャアァァーーーー!!」というような奇声をあげながら何かに取り付かれたように筆を走らせていたそうで、あまりの怖さにそのままドアを閉めて見なかったことにしたのだとか。全身全霊でコマにピッタリくる擬音を探ろうとする先生の生真面目さが見えた、とも言えるかもしれません。

 擬音とともにジョジョワールドを彩るのが独特なセリフ回しですが、こちらも特に意識して考えているわけではなく、リズムやテンポを重視して描いているうちに自然と降りてくる感覚なのだそうです。ただし第1シリーズのコミックス第1巻でジョジョが叫んだ名セリフ「何をするだァーーーッ!」は神が降ろしたセリフではありません。本来は「何をするんだァーーーッ!」だったのですが、誤植で独特のセリフ回しになり、名言とされるまでになったのだそうです。

 2022年は『ジョジョ』連載開始から35周年という節目の年。新たなる胸躍る展開が起こるように期待して年を越しましょう。

(古屋啓子)

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