作画が美しすぎるマンガ4選 美術館に飾られていてもおかしくない!?
マンガのなかに、美術館に飾られていたとしても違和感なく鑑賞してしまいそうな作品が多く存在します。作画の美しさが特に際立ったマンガを4作品紹介します。
美術館にあっても違和感なし! 美しすぎる作画の4作品
登場人物の表情、動作、背景、それぞれが美しく描かれたマンガは世界中に数多く存在しています。そのなかでも、ページをめくるたびにうっとりするような、作画が美しすぎる作品を紹介します。
●『図書館の大魔術師』(著:泉光)
耳長の少年・シオは特異な外見から村の鼻つまみ者であり、村の図書館にも入れてもらえませんでした。しかし、そんなシオにも夢があります。差別のない、本の都・アフツァックに行くことです。ある日、アフツァックから来た司書・カフナに出会います。このカフナとの出会いがシオの運命を大きく変えるのです。
着目したいのは、キャラクターの容姿と小物の細やかな作画です。容姿は主人公のシオを筆頭に中性的できれいな顔立ちをしています。小物の細かさは、はじめのシオの空想シーンを見ればよく分かります。大好きな物語「シャグラザットの大冒険」の主人公になりきったシオは大きなリュックを背負っています。
このリュックには本が何冊もついていて一冊一冊に付箋のようなものが貼ってあり、何度も読んでいることを暗に伝えているようです。このような描写から作者の小物一つひとつに込める想いがうかがえます。
●『とんがり帽子のアトリエ』(著:白浜鴎)
小さな村にある仕立て屋の娘・ココは幼い頃から魔法使いにあこがれを抱いていました。しかし、魔法の力を持って生まれた人しか魔法使いにはなれません。ある日、村を訪れた魔法使い・キーフリーが空飛ぶ馬車・羽根馬車を修理することになります。魔法を使うところを見てはいけない、と言われたココですが、我慢できず魔法を使うところをのぞいてしまうのでした。
魔法使いの象徴的なアイテム、「マント」を羽織ったキャラクターが多く登場します。そのマントをうまく活用し、美しい仕草を表現しているのがこの作品です。魔法を発動させる動作が美しく、キャラクターの真剣な表情と指先の繊細な動きから緊張感がひしひしと伝わってきます。
●『曇天に笑う』(著:唐々煙)
曇神社(くもうじんじゃ)の三兄弟は湖に浮かぶ監獄「獄門処」へ罪人を護送する橋渡しを担当していました。この三兄弟が暮らす町、近江では300年に一度、「大蛇の器」が人々に災いをもたらす、という言い伝えがありました。そして、「大蛇の器」の候補に曇三兄弟が含まれていることを知らされます。曇三兄弟がこの災いに立ち向かい、近江を守ろうと奮闘する物語です。
注目したい作画は、切り絵のような描写と、喜怒哀楽が激しい人物の表情です。作中に登場するキャラクターが号泣するシーンの美しさは格別です。涙をぼろぼろとこぼして鼻水も垂れている、普通ならとても汚い描写になってしまうはずです。しかし、この作者の手にかかれば、絵の美しさと感情移入してしまうストーリー性によってこちらまで涙が止まらなくなってしまうのです。
●『クジラの子らは砂上に歌う』(著:梅田阿比)
「泥クジラ」と呼ばれ、砂の海を漂っている巨船の記録係・チャクロは、漂着した廃墟船の偵察隊に選ばれ、そこで「泥クジラの外の世界」から来た少女と出会います。この出会いをきっかけに、外の世界を知らなかった若者たちの平穏な日々は引き裂かれていきます。絶望的な状況のなか、チャクロは希望を追い求め、泥クジラの仲間たちやリコスと共に戦い、出来事を記録し続けます。
空、大砂海、船しか場面が変化することはないですが、その3か所だけで物語が展開しているとは感じられないほど、多様な角度から描かれています。心をわしづかみにするストーリーと不思議な世界観を持つ作品です。
(マグミクス編集部)