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女性どうしの絆を描く「ロマンシス」漫画 「親友の遺骨」を抱えて旅をする物語も…?

1巻完結で読める傑作「ロマンシス」3作品

 1巻完結で読める少女マンガもご紹介します。『友だちの話』(マンガ:山川あいじ/原作:河原和音)では、地味な外見で弱気な性格の英子と、誰もが振り返る超絶美少女のもえが登場。全然違うタイプのふたりは唯一無二の親友で、絆はとてつもなく強いのです。

 いろんな男子に告白されるも、もえは、毎回こう返します。

「もえとつきあうってことは、英子とつきあうって事だから 英子をもえより大事にしてね」

 しかし、これをOKする男子が現れて……そして、この言葉に秘められたもえの想いとは。

 本来、話も絵も描ける天才の作者たちがタッグを組んだ、奇跡の一冊です。ホワっとした人物像と、ズバッとした人物像の両方が得意な河原先生の話づくりは、クスリと笑いながら引き込まれていきます。また、山川先生の構成力が素晴らしく、とにもかくにも、絵がべらぼうに上手いです。必見です。

『雑草たちよ大志を抱け』(池辺葵)は、苦味も優しさも抱き込んだ、まばゆい青春を描く連作集です。

 太眉に悩む、寝ぼすけな女子高生・がんちゃんは、幼馴染の高遠くんに密やかな恋をしている。しかし、彼からほかの女子への恋心をほのめかされて……。

 地味で平凡な女子たちにとって、人生はかくも厳しきもの。けれど時に、友人の言葉が生涯を照らす魔法に変わることもある。

 クラスの中心人物ではない、どちらかというと取り立ててトピックスにあがる方じゃない主人公たち。友達を家に迎えに行って、一緒に電車に乗って、昨日の再放送の『必殺仕事人』の話をして、マラソン大会が嫌で、好きな人に好きなんて伝えられなくて……。

 作中に無駄な言葉が一切ありません。無言で響いてくる世界観が美しく、言葉が発されたとき、その優しくも体全体に響きわたる威力に驚かされる作品です。

『マイ・ブロークン・マリコ』(平庫ワカ)は、2020年に発売された「ロマンシス」マンガを代表する作品といってもよいでしょう。

 柄の悪いOLのシイノは、外回り先の定食屋でひとつのニュースを目にする。それは、親友マリコの突然の死を伝えるものだった。親友の死を知ったシイノは、家に戻ると包丁を手にし、とある行動に出る。

 私は骨になったマリコと最初で最後の旅に出たーー女どうしの魂の結びつきを描く、鮮烈なロマンシス・ストーリー。

 先週遊んだばかりの親友マリコの「死」という、衝撃的な冒頭から始まる本作は、一度も読者を休ませてくれることなく、いくども衝撃を与えながらラストへと向かっていきます。

 お互いにしか拠りどころがなかったふたり。その中で「死」を選んだマリコと、残されたシイノ。ふたりの変化していく友情関係は、読む者に痛みとして伝わってきます。疾走感をそのままにぜひ。

 これらの作品の登場人物たちに素敵な友達がいることを嬉しく思うとともに、私も「ああ、友情したいな」と思うのでした。

(別冊なかむらりょうこ)

【画像】描くのは女性どうしの「魂の絆」? 1巻完結のロマンシス漫画(4枚)

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