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手塚治虫の名作『ブッダ』に登場する名言 「いじめ・差別・死」…現代にも通じる真理?

ブッダが説いた死への向き合い方とは?

最後まで人びとを救う旅を続けたブッダ。画像は手塚治虫の『ブッダ』第13巻(手塚プロダクション)
最後まで人びとを救う旅を続けたブッダ。画像は手塚治虫の『ブッダ』第13巻(手塚プロダクション)

 マンガ『ブッダ』に登場する名言。「いじめ」「SDGs」「死への向き合い方」など、最近よく聞かれるワードと通ずるようなセリフも多くあります。

●「どんな小さなことでも原因があればかならず結果が生まれる」

 これは、国を支配され迫害を受けるシャカ族の人びとと、そのシャカ族に迫害を行っていたコーサラ国の人びとの、両方に対して言ったセリフです。シャカ族に対しては、これまで豊かな生活をいいことに毎日酒盛りと踊りに明け暮れた日々を送っていたことが、他国に支配される原因になったのだと戒める意味でブッダは言いました。

 そしてコーサラ国に対しては「いま みなさんは思うがままにシャカ族を迫害している……これが将来どんな結果を生むか……それをおそれなさい!!」と強く警告する意味で言いました。

 ひどい仕打ちを他人にすれば、その者に因果となって返る。「いじめ」問題がなくならない現代でも考えさせられる言葉です。

●「人間もこの自然の中にあるからにはちゃんと意味があって生きてる」

 これはピッパラの樹の下で、シッダルタがヤタラという男に対して言った言葉です。「なんで人間はこの世に生まれるのか?」と問うヤタラに対して、シッダルタは「木や草や山や川がそこにあるように人間もこの自然の中にあるからにはちゃんと意味があって生きてるのだ あらゆるものとつながりを持って そのつながりの中でお前は大事な役目をしているのだよ」と答えます。

 これは、自らも悩みながら人が生きる意味を探していたシッダルタから無意識に出たセリフとして描かれています。この言葉をキッカケにシッダルタは悟りを開き、ブッダ(目覚めた人)となったのでした。

 最近「SDGs」という言葉がよく使われるようになりましたが、まさにこの言葉に通じるところがあるように思われます。

●「木は何もできない だからいさぎよく切られる日を待つだろう」

 これは、死が近づいていることを予言され、その日が来ることに怯えていたマガダ国の王・ビンビサーラに対してブッダが言ったセリフです。

「死を待つ恐怖の苦しみをどうしたらなくせるのか?」と問うビンビサーラに、ブッダは「木になりなさい 木になったと思い込むのです」と答えます。

 ブッダ曰く、木は欲を持たず、わめいたり泣いたりすることもない。いつかは枯れるか切られてしまう運命だが「木は何もできない だからいさぎよく切られる日を待つだろう」「あなたも逃げられない運命なら勇気だ 覚悟だ 正しい行動だ 正しい生活で……その日を待つのです!」と諭すのでした。

 いろいろなセリフを断片的に紹介しましたが、マンガ『ブッダ』の魅力は、シッダルタ(ブッダ)や周りに登場する人物たちの生き方にあります。完全無欠の完璧超人ではなく、常に悩み苦しみながら前へと進むシッダルタ(ブッダ)の姿には、むしろ我々と同じ人間らしい強さと弱さを感じさせてくれます。ぜひまだ読んだことのない方はぜひ一度、本を手に取ってみてはいかがでしょうか。

(吉原あさお)

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