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『ゴーショーグン』最終回から40年 「美しい」を流行語にした伝説のロボットアニメ

ファンからの高い人気は「続編」を生み出したが…

作中の人気エピソードを再編集した劇場版『戦国魔神ゴーショーグン』ポスタービジュアル
作中の人気エピソードを再編集した劇場版『戦国魔神ゴーショーグン』ポスタービジュアル

 それでは、最終回だった第26話「果てしなき旅立ち」について解説しましょう。

 ビムラーの地球を破壊するほどのエネルギーが安定するまでのカウントダウンが始まった。その時を待って最終決戦の準備をする両陣営。そして全人類が見守るなか、総力戦が開始される。

……というロボットアニメらしい展開を迎えますが、いわゆるメカ戦には至りませんでした。ゴーショーグンの進化したゴーフラッシャー・スペシャルによって、すべてのメカは自分の意志を持ち、戦うことを拒絶するようになったからです。その後、ドクーガの黒幕のネオネロス皇帝との決着がつき、物語はメインキャラのほとんどが生き延びるというハッピーエンドで終わりました。

 この最終回の最後にメインキャラの1年後が簡潔に語られます。こういった手法はそれまでのアニメではあまりなく、ファンサービスとして好評でした。ちなみに、ゲーム『第4次スーパーロボット大戦』のエンディングはオマージュとして、この手法が取り入れられています。

 最終回を迎えてもなおファンの熱気は冷めることなく、人気の高かったエピソードの第17話「グッドサンダー危機一発」と第20話「宇宙中継これがドクーガだ」を中心に編集された劇場版が1982年4月24日公開されました。また、この年にスタートした「アニメージュ文庫」で脚本を担当した首藤剛志さんによるノベライズ版が12月に発売されます。

 このノベライズ版で続編となる『その後の戦国魔神ゴーショーグン』が発表され、小説による新シリーズとして、続編を希望するファンを喜ばせました。この新シリーズの人気から、新たな劇場版『戦国魔神ゴーショーグン 時の異邦人(エトランゼ)』(1985年4月27日公開)という新作も生み出します。

 ほかにも、放映中に発売されたLPレコード「闇よ美しくあれ」は、TV版とは別の新録ドラマが入っていたことで高い人気がありました。当時はまだビデオの普及数がそれほどでもなかったことからアニメのドラマ編は多くありましたが、新録はほとんどなく貴重な存在だったのです。後にヒットするカセット文庫の先を行くタイプのドラマ編でした。

 前述しましたが、本作のブンドル人気で声優の塩沢さんも本格的にブレイク、以降はキザなキャラの第一人者ともいえる存在になります。小山さんも本作のレミー役と、この同年に放送開始した『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981~1986年)の則巻アラレで一気にトップ声優に上り詰め、不動の人気を得るきっかけとなった『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982年)のミンキーモモへとつながることになりました。

 残念ながら小説版は首藤さんの急逝で未完のまま終了します。また、葦プロダクションのリメイク企画に上がったこともあるそうですが、実現には至っておりません。そのせいか、後年にあまり話題として上がることがない作品となってしまいました。

 しかし、前述した通り、当時の高い人気と後世に影響するような作品だったことは間違いありません。それゆえ、当時まだ生まれていなかった若い世代の方々に、ぜひとも見ていただきたい名作だと筆者は思っています。

(加々美利治)

【画像】「潔く一括払いだ!」美を追い求める『ゴーショーグン』の大人気キャラ(5枚)

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