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放送終了15年目で白熱する『ウルトラマンマックス』人気の秘密 原点回帰と自由な革新性

29人の新旧の才能が集結

全40話の裏話が詳しく読める『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』(立東舎)
全40話の裏話が詳しく読める『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』(立東舎)

 その他の平成~令和作品との違いといえば、『マックス』がタイプチェンジを行わないのも特徴的です。平成ウルトラシリーズは最初の『ティガ』から、見た目も能力もハッキリ変化する、いわゆるタイプチェンジが採用されてきましたが、『マックス』では昭和シリーズと同様にそれがありませんでした。

 平成後期?現在の作品では、使用するアイテム数の増加やデザインの派手化も進んでいますが、本作では一貫して見た目もアイテムも増加しません(中盤でマックスギャラクシーという武器は登場します)。『マックス』の人気が再燃しているのは、「シンプルさ」を求める視聴者の揺り戻しとも取れそうです。

 そして、いま『マックス』の面白さを語る人びとのなかでよく言われているのが、「ストーリーが完成されている」ということです。本作は原点回帰を目指した作品でしたが、革新的なのが全39話(スペシャル編も含めて40話)を総勢29人の監督・脚本家たちで作り上げている点です。「バルタン星人の生みの親」である飯島敏宏監督が再びバルタン星人を描いたり、三池崇史監督がウルトラシリーズに初挑戦したりと、伝統と革新を織り交ぜながら制作されました。

 2021年に出版された『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』によると、各監督には「放送できるものであれば何をやっても構わない」という旨が伝えられ、何よりもクリエイターの自由さを尊重したそうです。さらにストーリーをより良く、長く見せるために番組フォーマットの変更も行われました。それまで定番だったエンディングを廃止し、本編尺を増やすことでクリエイターが描きたいものを存分に活かす工夫をしたのです。

 昭和作品もエンディングがないため、この点も原点回帰を意識した部分だそうです。その結果、コメディ回があったり、涙する感動回があったりと、全体の振り幅が非常に大きな作品に仕上がっているのも、『マックス』の見応えが増す大きな特徴でした。

 「子供向けに作るが大人が見ても楽しめる作品」と制作チームが目指した通り、放送当時の子供たちが15年経って大人になったからこそ、まさにこのような現象が起きているのかもしれません。

(椎名治仁)

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