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『ウルトラセブン』42話「ノンマルトの使者」BSで放映 歴史観を揺るがす衝撃エピソード

特撮ドラマの金字塔『ウルトラセブン』のなかでも、第42話「ノンマルトの使者」は脚本家・金城哲夫氏の代表作と評されています。沖縄出身の金城氏は、当時は米国の統治下だった沖縄と日本本土との架け橋となることを願っていました。金城氏は衝撃的なエピソード「ノンマルトの使者」をどんな想いで執筆したのでしょうか。

子供たちを驚かせた二重のどんでん返し

『ウルトラセブン』の制作裏話をダンとアンヌの対談形式で紹介する、『ダンとアンヌとウルトラセブン ~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)
『ウルトラセブン』の制作裏話をダンとアンヌの対談形式で紹介する、『ダンとアンヌとウルトラセブン ~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)

 4Kリマスター版がNHK BSプレミアムで放送中の『ウルトラセブン』も、いよいよ佳境が近づいてきました。2022年1月16日(日)朝8時からは『ウルトラセブン』の第42話「ノンマルトの使者」が放映されます。

 1967年10月から1968年9月まで全49話が制作された『ウルトラセブン』のなかでも、金城哲夫脚本&満田かずほ監督による「ノンマルトの使者」は異色中の異色作として知られています。

 子供の頃に観たときには、二重仕掛けの大どんでん返しに驚きましたが、大人になって見返すと、金城氏ら当時のスタッフの歴史に対する深い洞察力を感じさせるSF作品であることが分かります。「ノンマルトの使者」の見どころを改めて紹介します。

タコのような触手を持つ怪獣が海底から出現

 アンヌ隊員の水着シーンが「ノンマルトの使者」の序盤を飾ります。アンヌ隊員ことひし美ゆり子さんのファンなら、思わず鼻の下を伸ばしてしまうサービスショットです。しかし、ストーリーは子供向けのヒーロー番組とは思えないほど、ミステリアスな展開を見せていきます。

 ウルトラ警備隊の休日、海辺で過ごしていたアンヌの前に、ひとりの男の子が現れ、海底開発を止めるようにと告げるのでした。男の子によると、海底はノンマルトのものだそうです。地球はもともとノンマルトが暮らしていたのですが、後からやってきた人間によって追い払われ、海底に生息するようになった、というのです。

 しかし、人類による海底開発は中止されません。タコのような触手を持つ怪獣ガイロスが海底から出現し、船に襲いかかります。ウルトラ警備隊が出動し、ただちに攻撃します。ノンマルトが地球の先住民族だと知らされたモロボシ・ダンは、ウルトラセブンに変身することをためらいますが、結局はウルトラ警備隊と一緒に戦うのでした。

 水中ミサイルを装備した潜水艦ハイドランジャーに乗ったキリヤマ隊長は、ノンマルトが暮らす海底都市を発見し、容赦なく破壊します。

「ウルトラ警備隊全員に告ぐ! ノンマルトの海底基地は完全に粉砕した。我々の勝利だ! 海底も我々人間のものだ!」

 キリヤマ隊長は、海底都市が壊滅するのを見届けて歓喜の声をあげます。ノンマルトとの戦いに、ウルトラ警備隊は勝利しました。しかし、ノンマルトの存在を告げた少年・真市くんの正体を知ったダンとアンヌは、心が晴れることはありませんでした。真市くんが持っていたオカリナの音色だけが、海辺に寂しく響きます。

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