歴史を変えた、『宇宙刑事ギャバン』と戦隊の共演 東映コラボ作品が続々と開花
数あるコラボ作品のきっかけとなった『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』。シリーズの垣根を越えて製作されたこの映画をきっかけに、過去のヒーローたちがリデザインされた映画が制作されていきました。
歴史的偉業だった「戦隊と宇宙刑事の共演」

10年前の2012年1月21日、『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開されました。この作品は戦隊シリーズだけでなく、後の東映ヒーロー作品に影響を残した記念すべき作品でした。
本作は当時放映中だったスーパー戦隊シリーズ第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』の世界観に、宇宙刑事シリーズおよびメタルヒーローシリーズ第1作で当時30周年だった『宇宙刑事ギャバン』がクロスオーバーすることで、ダブルメモリアルとも言うべき作品になります。
通常、この時期に公開される「スーパー戦隊VSシリーズ」は放送時の当年度と前年度の戦隊が共演するものでした。しかし、『ゴーカイジャー』の前作である『天装戦隊ゴセイジャー』とは、前年2011年6月11日に公開された『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』が、実質的にスーパー戦隊VSシリーズに相当する内容でした。そのため、別の作品とのコラボが検討され、本作の制作が決まったわけです。
スーパー戦隊シリーズと宇宙刑事シリーズとの映像でのコラボは本作が初めてでした。他の作品で考えた場合、1978年3月18日に公開された『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』で写真という形で、他シリーズのキカイダー、仮面ライダーV3、仮面ライダーアマゾンと共演していた過去があります。
また、前年2011年4月1日に公開された『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』では、他作品の主人公であるキカイダー、キカイダー01、イナズマン、ズバットが共演していて、この当時の東映ヒーロー作品は他作品とのコラボが積極的に行われていた時期と言えるのかもしれません。
この流れで、2012年4月21日公開の『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』という仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズの本格的コラボ作品が制作されました。宇宙刑事シリーズも新たな試みとして、二代目ギャバンが登場する『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が2012年10月20日に公開されています。
そして、これまでのヒーローを単にコラボ出演させるという方向から、現代風にデザインを新しくするという方向性がこの後に起こり、2012年8月4日公開『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』では『宇宙鉄人キョーダイン』や『大鉄人17』、2012年12月8日公開『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』では『イナズマン』、『アクマイザー3』、『美少女仮面ポワトリン』がリデザインされて登場しました。
この流れはやがてリブート作品と呼ばれる、2014年5月24日に公開された『キカイダー REBOOT』を生み出します。実は、同時期に公開された海外映画『アベンジャーズ』に着想を得た東映は、これら石ノ森章太郎先生原作ヒーローが集結する『石ノ森アベンジャーズ』を企画していました。それに伴い坂本浩一監督などの働きかけで上記のような流れになっていたのです。しかし、残念ながらビジネス面を考慮して、この着想は最終的にお蔵入りしてしまいました。
ただ、この流れとは別に宇宙的警察ヒーローつながりで、『特捜戦隊デカレンジャー』と宇宙刑事シリーズのコラボである『スペース・スクワッド』シリーズを生み出し、スーパー戦隊と宇宙刑事の夢の共演は現在へとつながります。