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2021年放送、隠れた名作アニメ一挙振り返り 裏番組が強力すぎて目立たなかった不運も

裏番組との激烈な視聴率争いがあった作品たち

『魔入りました!入間くん』 (C)西修(秋田書店)/NHK・NEP
『魔入りました!入間くん』 (C)西修(秋田書店)/NHK・NEP

 もちろん印象的だったのは、深夜帯のTVアニメだけではありません。2021年の作品で筆者がイチオシしたいのが『魔入りました!入間くん(第2期)』(4月17日~9月11日)です。

 最初は原作マンガも読んでいなかったのですが、第1期放送中の年始一挙放送で見て、1日でファンなりました。以降、原作マンガも追っています。

 作品の舞台が魔界。主人公の鈴木入間以外の登場人物は全員悪魔なので信じられないかもしれませんが、内容は正当な学園ものです。設定が単なる舞台装置で、悪魔でもメンタルは普通の人間と変わりません。そして、ドタバタコメディのなかに時折ド直球の感動が飛び込んでくるいい作品です。

 本作は第1期、第2期共に2クールの放送でしたが、同時間帯に放送されていた作品が人気作『僕のヒーローアカデミア』だったことから、あまり注目されていなかったかもしれません。第3期の制作がすでに決まっているので、次回こそ『ヒロアカ』の裏番組でないことを祈っています。

 定番のコンテンツとして誰もが知る「プリキュア」シリーズ。その第18作『トロピカル~ジュ!プリキュア』(2月28日~放送中)です。毎回、異なったモチーフになっていますが、本作は「海」と「コスメ」でした。その結果、人魚が登場する南国をイメージした海辺の街が舞台となっています。

 長期にわたってシリーズを続けているので固定ファンも多く、二世代コンテンツとしてメジャーなタイトルですが、それだけに作品ごとのクオリティは一定していません。それでも本作は多くのファンの期待に応えた良作だったと思います。

 特に1話から登場していた人魚のローラが仲間たちとの絆を強くしていき、人間へのあこがれからプリキュアに変身できるようになる流れは、4クール作品ならではの丁寧さと納得感のあるストーリーでした。特に調子のよい自信家と言う嫌われやすいタイプのローラを、見事に愛されるタイプのキャラとして昇華している点は素晴らしいのひと言に尽きます。

 長期シリーズと言えば、「デジモン」シリーズの新作である『デジモンゴーストゲーム』(10月3日~放送中)も注目です。個人的には近年のシリーズで、もっとも好みの作品になりました。こちらも裏番組が『仮面ライダーリバイス』という強敵です。

 科学的な要素であるデジモンという存在を、妖怪や怪奇現象に置き換えている点が秀逸。正直、設定だけ聞いた時は不安要素だと思いましたが、見事な融合ぶりで作品の雰囲気にグイグイ引き込まれてしまいました。しかも、ストーリーテラーとも言えるナレーターが俳優の竹中直人さんというのも意表を突く起用です。

 筆者が作中のキャラで注目しているのが、東御手洗清司郎(ひがしみたらい・きよしろう)とジェリーモンのコンビ。お互いを「ジェリーモン様」「ダーリン」と呼び合う奇天烈な関係は、これまでのデジモンとパートナーでは例のない形で大注目。担当声優の石田彰(いしだ・あきら)さんと嶋村侑(しまむら・ゆう)さんの演技が絶品です。

 以上、筆者が2021年に注目したTVアニメ作品でした。ほかの注目作品は何らかの形でネット上で記事として読んだこともありますが、前述の作品はあまり見たことがありません。人によって好みはさまざまですが、筆者と感性が近い人には面白いと思っていただける作品だと思います。みなさんにもあまり取り上げられなかったけれど、誰かにおススメしたい作品ってありますよね?

(加々美利治)

【画像】2021年に放送された良作アニメ(6枚)

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