【シャーマンキング30周年への情熱(56)】「巫力無効化」を破った道蓮の気づき
蓮とホロホロの勝利の理由は「巫力無効化」だけではなかった?
道蓮は、自分の巫力が無効化される様子を「のれんに腕押し」「柳に風」のように、いくら押しても受け流されてしまう感覚に似ていると表現しました。そしてそれは麻倉葉の生き様と同じ種類のものだとも感じています。この体験によって、彼はいち早く「巫力無効化」の原理に気づけたわけです。ただ蓮にしろホロホロにしろ、なぜ勝つことが出来たのかについては、補足が必要だと思います。
ここは原作でもややわかりづらいところで、実は後に回収される伏線が張られている場面です。確かに巫力無効化は勝因のひとつですがそれだけではなく、ずいぶん後になってからそのことが判明します。
原作では今回が第227廻(KCコミックス26巻)近辺で、伏線の回収は第255廻(KCコミックス29巻)です。ちょっと「遠い」ですね。そのためかアニメでは伏線に相当するアバブ先生のセリフが一部カットされています。というわけで原作をもとに、蓮とホロホロの勝因を補足説明したいと思います。
それはズバリ、雷や冷気といった自然現象を駆使して戦ったからです! 巫力無効化にも弱点があります。それは、キャンセルできるのは巫力や霊力だけだということです。つまりオーバーソウルはキャンセルできても、オーバーソウルを使って生み出した自然現象はキャンセル不可能です。
明王との試合で、蓮は「ブシン・ユーツー」というオーバーソウルを使い「本物の雷」をヤイナゲに落としました。ホロホロの「カムイランケ オプケニ(神から授かった拳)」はその拳で「空気中の水分を凍らせ」ました。これはキャンセルできないのです。
なお実際の自然現象をシャーマンではなくオーバーソウルにぶつけることができるのか? という疑問がわいてくるかもしれませんが、オーバーソウルは「物質(媒介)に霊を閉じ込める」行為なので、自然現象を使って媒介にダメージを与えることは可能でしょう。ですからそれによってグンダリに雷が落ちたとか、フドウやアイゼンの姿が欠ける、凍ったように見えるということはあると思います。
この巫力無効化は、ここから先の展開でかなり重要な能力として描かれていきますが、それにしても第1話から一貫している葉の「ユルさ」は「中庸」であり、それが巫力無効化という技となって登場し、さんざん振り回された蓮が克服の気づきを得るという構成には驚きですね!
それでは今回はこの辺で。また次回よろしくお願いします!
(タシロハヤト)