『機動戦士ガンダム』最終話「脱出」 アムロの帰還は「ジオン残党」の闘いの始まり
「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」

岩陰にジオングを据え、残された腹部のメガ粒子砲で戦いを続けていたシャアでしたが、不意に現れたガンダムにより本体を撃墜されてしまいます。頭部コクピットで脱出した際にガンダムの頭部を破壊することに成功したものの、アムロは「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」と戦闘を継続します。
通常、メインカメラの破損は「たかが」で済まされるものではありませんが、完全にニュータイプへと覚醒したアムロにとっては本当に問題ではなかったのでしょう。
さらにシャアを追い詰めたアムロは、シャアが待ち伏せをかけてくることに気づき、ガンダムを自動制御にしてコクピットを離脱。そしてガンダムが放った最後の一撃はジオングの頭部をとらえますが、ジオングの放ったメガ粒子砲もガンダムに命中。連邦の白い悪魔とあだ名され、数多くの名パイロットを葬ったガンダムにも、眠りにつく時が来たのです。
互いに剣を振るい、生身で戦うアムロとシャア。そこにGファイターを乗り捨てたセイラが飛び込み、ふたりの戦いは痛み分けで終わります。
と、そのとき不意の爆風にさらされたアムロは吹き飛ばされ、シャアは炎に飲まれそうになるセイラを危ういところで救い出します。シャアはセイラに別れを告げてザビ家の最後のひとりであるキシリアを殺しに向かい、本懐を遂げました。
一方アムロは運よく、あるいは運命に導かれてかガンダムにたどり着き、生き残っていたコア・ファイターを発見。ニュータイプへと覚醒しつつあったホワイトベースのクルーたちを導きながら、帰るべき場所へたどり着くのでした。
そして宇宙世紀0080年1月1日。地球連邦政府とジオン共和国臨時政府の間に終戦協定が結ばれました。
しかし、これはジオンの敗北を意味するのでしょうか? 否、始まりなのです。
デラーズ紛争。
グリプス戦役。
第一次ネオ・ジオン抗争。
第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)。
袖付き。
人類圏に隠れ潜んだジオン残党軍の戦いは、ここから始まるのです。
(早川清一朗)