『呪術廻戦 0』興収100億が目前! 共感を呼ぶ「初恋が呪いに変わる物語」
TVアニメ『呪術廻戦』の前日譚にあたる『劇場版 呪術廻戦 0』が興収100億円に迫る大ヒットとなっています。劇場版の主人公となるのは、気弱な少年・乙骨憂太です。憂太は優しく、真面目な性格ゆえに、悩み、苦しみ、成長を遂げることになります。若者たちの共感を呼んでいる『呪術廻戦 0』の魅力は、どんなところにあるのでしょうか。
『シン・エヴァ』を上回るハイスピード興収
「愛ほど歪んだ呪いはないよ」
最強の呪術師であり、「呪術高等専門学校」の教師でもある五条悟の言葉です。呪術の使い方を学び、呪霊を祓(はら)う「呪術高専」を舞台にした『劇場版 呪術廻戦 0』は、2021年12月24日から公開が始まり、大ヒット上映中です。2022年1月23日には、公開から31日間で興収93億円を突破しています。
この週末にも100億円に届きそうな勢いです。世界興収570億円を誇る『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年)が打ち立てた、公開から10日間で100億円を突破した史上最速記録には敵わないものの、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)の127日間で100億円を達成したペースを大きく上回っています。
現在も「週刊少年ジャンプ」での連載が続く人気コミック『呪術廻戦』は、ポスト『鬼滅の刃』の最右翼と目され、2020年10月~2021年3月に全24話が放映されたTVアニメ版『呪術廻戦』も高い評価を得ていました。
TVアニメ版と同じくMAPPA制作、朴性厚監督による『呪術廻戦 0』は、期待どおりの大ヒット作となりました。呪術パワー、恐るべしです。『呪術廻戦 0』が大ヒットしている要因を探りたいと思います。
コアなファンもビギナーも楽しめる「エピソード0」
物語の舞台となるのはTVアニメ版と同じく「東京都立呪術高等専門学校」ですが、主人公はTVアニメ版にはまだ姿を見せていない乙骨憂太です。TVアニメ版の主人公・虎杖悠仁が「呪術高専」に入学する前年のエピソードが描かれています。
幼い頃に結婚の約束をしていた少女・祈本里香を、憂太は11歳のときに交通事故で失ってしまいました。以来、憂太には里香の怨霊が取り憑いています。優しい性格の憂太に危害を加えようとする者が現れると、モンスター化した里香が容赦なく襲いかかります。
周囲の人を傷つけたくない憂太は、心を閉ざすようにして生きてきました。そんな憂太に手を差し伸べたのが五条悟です。「呪いは使い方次第で、人を助けることもできる」と「呪術高専」で学ぶことを勧めるのでした。すでに同校に入学していた同期生の禪院真希、狗巻棘、パンダと呪術についての実習を重ねることになります。
本作の原作となっているのは芥見下々氏が「ジャンプGIGA」に短期集中連載した『東京都立呪術高等専門学校』です。この作品が高く評価されたことから、『呪術廻戦』の本連載が始まっています。TVアニメ版『呪術廻戦』の前日譚にあたるエピソードになります。
TVアニメ版をまだ観ていない人も、現在18巻まで出ている原作コミックを読んでいない人も、『呪術廻戦 0』は予備知識なしで入っていくことが可能です。もちろん、すでにTVアニメ版、原作をチェック済みのファンは、シリーズ初の劇場作品となる『呪術廻戦 0』を観ることで、より深く「呪術高専」の歴史を学ぶことができるわけです。
公開からわずか1か月で100億円に迫る大ヒットを記録したのは、コアなファンもビギナーも一緒に楽しめる「エピソード0」だったことが大きな要因になっていると思われます。