【シャーマンキング30周年への情熱(57)】ラスボス「ハオ」の原点と憎しみの連鎖
2022年1月27日に放送されたTVアニメ『シャーマンキング』第41話で描かれた、島内各所で同時に起きていた出来事を掘り下げます。マルコに見切りをつけ、独自に動いたデンバットたちですが、彼らもまたその資格が問われたのではないでしょうか。
わかりやすく映像でまとめられた、島内各所での重要な出来事

2022年1月27日(木)に放送されたTVアニメ『シャーマンキング』第41話は怒濤の展開でした! 重要な話題が積み重なり、最後はついに麻倉葉の新型オーバーソウル、「スピリット オブ ソード 白鵠(びゃっこう)」が飛び出しました! 前回からエンディングテーマも変わり、さらに物語は盛り上がりを見せています。
筆者は2021年最後の連載記事(第54回)で、「アニメは原作をわかりやすくまとめている」と書いたのですが、今回もまさにそうだったと感じます。
今回は島の各所でさまざまな状況が同時に発生していました。中心にあるのはデンバットたちによるハオ暗殺計画の実行です。その時マルコやジャンヌは車で移動中、麻倉葉たちは「新型」の修行中にサティが現れ、戦おうとしていたところでした。
これらはデンバットの天使・ラファエルが宇宙からレーザー兵器を放った影響を受けて、一気に話が進みます。もちろん原作もそう描かれていましたが、アニメは主にふたつの点で原作と異なります。
まずは花組とマジカルプリンセスの戦いが描写されていない点です。魔女たちの小者っぷりをアニメでも観てみたいところでしたが、レーザー兵器の影響とほぼ関係のない描写なので、これをいさぎよくカットしたことで出来事の関係性がよりわかりやすくなりました。
もうひとつは、地獄編の開始まで1話で一気に描いたことです。原作では数話にわたる展開を凝縮したことで、連載作品にありがちな「話が細切れでよくわからない」という現象が起きずに済んだわけですね。
それでは、それぞれの話を掘り下げていきたいと思います。
まずマルコたちのエピソードですが、マルコにしろジャンヌにしろ態度が大きく変化しています。ひと言で表せば柔らかくなり、他人に気持ちを向けられるようになったということですが、その思い自体は以前から心に浮かんでいたはずで、口に出せるようになった点が変化なのだと思います。
X-LAWSが掲げていた正義は、マルコの個人的な恨みを正当化するためのものでした。マルコはその後ろめたさと後に引けない覚悟から自分を厳しく律していましたが、もうそこにこだわる必要はありません。ジャンヌは自分の役割を信じていたので、甘いことは口にできなかったのでしょうが、そのしがらみもありません。
ふたりとも、もともと思慮深い性格なのはこれまでに描写されているので、今後を期待させる描かれ方でした……が、道蓮やチョコラブと同様に過去が彼らを許しません。いくら反省しても、これまで犠牲になった者には関係ないのです。