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『ダイの大冒険』ポップついに覚醒! 編集部から「殺しましょう」と言われた危機も

最終決戦への秒読みが始まったTVアニメ『ダイの大冒険』。これまでも数々の活躍をしてきたポップの見せ場が目白押しです。しかし過去の原作マンガでは、編集部から「殺しましょう」と言われた危機もありました。

味方だけでなく敵にも影響を与える存在感

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』2年目ビジュアル (C)三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 (C)SQUARE ENIX CO., LTD.
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』2年目ビジュアル (C)三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 (C)SQUARE ENIX CO., LTD.

 TVアニメ『ダイの大冒険』、2022年1月29日の放送でついに光ったポップの持つ「アバンのしるし」。原作でも人気の高かった名シーンがようやくアニメ化されました。今回のことで精神的に急成長を遂げたポップ。これまでの歩みを振り返ってみましょう。

※原作マンガはすでに完結してから日が経って、最終回までの展開を知っている人も多いことと思いますが、本稿ではあくまでも現在放送中のTVアニメでの展開のみを記載いたします。

 ポップの一番スゴいところ。それは他者に与える影響力だと筆者は思っています。大魔王バーンに敗れ、戦う意思をなくしたダイを立ち直らせたのもポップでした。まさにパーティーの中心人物。その力は意識せず、敵対する相手にも大きな影響を与えていました。

 たとえばクロコダイン。最初はポップを小物と軽く見ていました。しかし、かなわないとわかっていても必死に戦うポップの姿が、捨てたはずの武人の心と誇りを取り戻させ、後悔の涙を流させるきっかけになります。その結果、クロコダインは頼もしい仲間となりました。

 こういった経緯で、ポップから親しみを込めて「おっさん」と呼ばれるようになったクロコダイン。キルバーンからひとりで逃げるポップの姿を見て、救出すると、いきなり逃げたことがありました。勇猛果敢なクロコダインの不意を突いた行動にポップを逃がしてしまうキルバーン。その後、クロコダインは今のポップがひとりで逃げていたことから緊急事態を察し、それゆえにためらわず逃げることを選んだことを告げます。

「そろそろ付き合いも長いからな」

 そう言ったクロコダインに抱きついて号泣するポップ。以前の勇猛果敢なだけのクロコダインではありえない戦法に、ポップとの出会いで大きく成長したことがうかがえる名シーンです。おそらくダイやマァムと同じくらい、クロコダインもポップを理解しているのでしょう。

 また、ハドラーもポップの影響を大きく受けた人物です。ハドラーはザボエラとの夜襲を「見損なった」とポップに罵られ、結果的に失敗、自身の保身ではなく誇り高き武人であることを願って超魔生物となりました。ほかにも理由はありますが、このポップの言葉も少なからずハドラーの変心に影響を与えていると思います。

 ここで面白いのが、クロコダインもハドラーもザボエラの甘言によって武人の誇りを失い、ポップの言葉で目が覚めて真の武人としてリスタートしている点。ポップ自身は正々堂々と戦うというよりも、相手を挑発して自分の有利な状況を作るという策士の面があります。そう考えるとむしろザボエラに近い戦闘スタイルかもしれません。

 しかし大きく違うのは、ポップはいつも敵を自分より格上と考え、真摯に向き合って必死に自分の身体を動かします。他者を見下し、利用できるものは何でも利用するというザボエラとは真逆の考え方。同じ頭脳戦を得意とする者同士ですが、この一点で真逆の戦い方になるわけです。

 このポップの根底にある相手へのリスペクトの気持ちが、ザボエラにない武人たちの心を動かす原動力になっているのでしょう。

 もちろん、ポップ自身も他者からの影響で大きく成長してきました。そういう意味では本作の成長の物語は、ポップ中心にあったと言っても過言ではないかもしれません。

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