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異色コメディ『大怪獣のあとしまつ』には社会風刺も 巨大な「ゴミ」に翻弄される人びと

「空想特撮エンターテイメント」と銘打った映画『大怪獣のあとしまつ』が公開されます。死んでしまった大怪獣を、誰がどう処理するかをめぐる物語です。大ヒット映画『シン・ゴジラ』の後日談を思わせる内容ですが、コメディ映画ゆえに結末の行方がまったく読めません。『大日本人』と並ぶ、異色の特撮映画として注目されます。

『時効警察』で知られる三木聡監督のオリジナル作

映画『大怪獣のあとしまつ』は、人類を恐怖に陥れた大怪獣が突然死亡するところから物語が展開する
映画『大怪獣のあとしまつ』は、人類を恐怖に陥れた大怪獣が突然死亡するところから物語が展開する

 さまざまな特撮ドラマのなかで、凶暴な怪獣たちが日本に何度も上陸し、大暴れしてきました。そんな怪獣たちをスーパーヒーローや防衛隊がやっつける姿に、子供の頃はワクワクしたものです。しかし、倒された怪獣は、その後はどうなっていたのでしょうか?

 これまでの特撮ドラマでは描かれることがあまりなかったエピソードに特化したコメディ映画が、2022年2月4日(金)から公開される『大怪獣のあとしまつ』です。

 脱力系コメディ『時効警察』(テレビ朝系)で知られる三木聡監督のオリジナル作品で、山田涼介さん、土屋太鳳さん、オダギリジョーさん、西田敏行さんら人気俳優がキャスティングされています。松竹と東映の大手映画会社同士が初めてタッグを組んで、製作&配給していることでも話題となっています。

難航を極める大怪獣の死体処理

 全長380m、全高155mという超巨大怪獣が登場する『大怪獣のあとしまつ』ですが、気をつけておきたいのは、その大怪獣はすでに死んでしまっているという点です。それゆえ、大怪獣がスーパーヒーローや防衛隊と激突するバトルシーンは、いっさいありません。あくまでも、大怪獣の死体をどう処分するかをめぐる、異色のドタバタコメディとなっています。

 首相の西大立目(西田敏行)は閣僚を集めて緊急閣議を開きますが、大怪獣の処理という厄介な仕事を誰が請け負うかで閣僚たちは大もめすることになります。『シン・ゴジラ』(2016年)の緊張感漂う「巨災対」と違って、国防大臣の五百蔵(岩松了)や環境大臣の蓮佛(ふせえり)らの討論は議題から脱線しまくりです。『時効警察』の時効管理課のやりとりを、劇場版へとスケールアップさせたようなギャグシーンが展開されていきます。

 一方、現場で大怪獣の処理を直接担当することになるのが、特務隊の隊員・帯刀アラタ(山田涼介)でした。大怪獣の死体にはガスが充満しており、爆発する危険性があります。しかも、大変な悪臭を放つため、大怪獣の処理作業は難航を極めるのでした。

 環境大臣の秘書官で、アタラの元恋人・雨音ユキノ(土屋太鳳)、爆破のプロである元特務隊員のブルース(オダギリジョー)らも加わり、物語は一筋縄では進みません。大怪獣の処理は無事に済むのか、アラタとユキノはなぜ別れたのか、閣僚たちのギャグバトルはいつまで続くのか……。多くの疑問をはらんで、物語は予想外な結末へとなだれ込んでいきます。

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