悪を許さぬ「黄金の精神」を持つ『ジョジョ』の一般人たち 波紋やスタンドがなくても…
ギャングとしての矜持を見せた「普通」の男

●川尻早人……父に化けた吉良吉影に立ち向かったスーパー小学生
川尻早人は、第4部に登場する連続殺人鬼・吉良吉影が殺害して成り済ました男、川尻浩作のひとり息子です。関係の冷え切った両親を見て育ち、その愛情を疑って調査をしているなか、ある時から父親がおかしいことに気づき、彼が殺人鬼に入れ替わっていることを突き止めてしまいます。最初は陰気な雰囲気でしたが、吉良から母・しのぶを守ると決めてからは、りりしい顔つきへと変わっていきました。
スタンドの存在もよくわかっていないなかで、「猫草」を使って吉良を不意打ちで殺そうとしたり、「バイツァ・ダスト」をしかけられた絶望的状況でも機転を利かせて仗助に吉良の正体を知らせたり、億泰が爆弾に変えられているか確かめるために彼に触ったりと、頭も切れる上にとんでもない勇気を見せています。仗助から「マジに小学生かよ」と驚かれるなど、『ジョジョ』最強の一般人ともいわれるキャラです。
●ヌンツィオ・ペリーコロ……組織への忠義を示した老幹部
第5部に登場したギャング組織「パッショーネ」に所属するペリーコロは、作中で唯一登場した非・スタンド使いの幹部です。ブチャラティも信頼を寄せる人格者で、チームに「ボスの娘・トリッシュを護衛しろ」という任務を与えた人物でもあります。
その後、任務の途中でブチャラティたちは、アバッキオの「ムーディー・ブルース」のリプレイで彼の最期を見ることになりました。端的にその後の指令を伝えたペリーコロは、「敵に証拠を残さないために」と、冷や汗一つかかずに穏やかな顔のまま拳銃で自殺します。「ボスのおかげで わしは十分に充実した 実り豊かな人生を 楽しませてもらったよ」と、「仁義」を通したギャングらしい人物でした。
スピンオフ小説『恥知らずのパープルヘイズ』では、ペリーコロは息子のジャンルッカが病気で死にかけていたところを助けてもらったことがきっかけで、組織に入団したことが明らかになりました。そこから幹部にまで上り詰め、最後まで義理を通すとはただ者ではありません。
●ルーシー&スティーブン・スティール……信頼で結ばれ、最後まで大統領たちと戦った夫婦
第7部の舞台となるアメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」を開催した大富豪、スティーブン・スティール。彼の妻はなんと14歳の少女・ルーシー、彼女に泣きながら甘えまくる姿などもあり、当初は完全に「アウト」な関係に見えていたのですが……。
その後、スティーブンは幼女だったルーシーからヒントをもらい事業を成功させていたこと、数年後に成長したルーシーがマフィアへの借金のカタとして身売りされそうになっていたところを、スティーブンが偽装結婚という形で助けていたことが明らかになります。そんな過去もあり、ふたりは互いを深く信頼し愛していました。
物語が進むにつれて、ルーシーは夫がレースを通して「聖なる遺体」を集めることを目的とするヴァレンタイン大統領と関わり、危険にさらされていることを知っていきます。そして、「遺体の在り処を記すメモ」を盗んだことをきっかけに、彼女はどんどん受難の道に進んでいくことになるのです。
その後、ルーシーは途中「聖なる遺体」によってスタンドに近い力を手にしますが、それは彼女自身のものではなく大統領によって利用されることになります。しかし、それでも彼女は夫を守ろうと強い精神力を見せました。
そして物語終盤、スティール夫妻は「普通の人」なりにそれぞれジョニーを助け、悪を打ち砕くことになるのです。
(マグミクス編集部)