マンガの「一芸」を極めたキャラ5選 不器用、凡人でも「最強」を超えられる?
ひとつの技、プレー、分野を徹底的に磨き続ける男たち……「不器用」「凡人」と言われても構わない、仲間、恩師、そして自分を信じて「一芸」を極めたマンガのキャラを紹介します。
「感謝」「回転」の力は無限大?
バトルマンガ、スポーツマンガなどにはひとつの技、プレーのみをひたすら極める「一芸」に秀でたキャラがよく出てきます。汎用性の高い器用な能力を持つキャラも魅力ですが、不器用ながらにひとつの武器を磨き続けるストイックな姿もかっこいいです。
例えば『鬼滅の刃』の人気キャラ・我妻善逸は、「雷の呼吸」の「壱の型 霹靂一閃」しか使えません。しかし、育手の桑島の「一つのことを極め抜け」という言葉を信じてどんどん成長し、共感を呼んでいます。今回は一芸に特化した魅力的なキャラを紹介します。
●『HUNTER×HUNTER』アイザック=ネテロ
『HUNTER×HUNTER』に登場したハンター協会会長ネテロは、人類最強の男ともいわれた年齢不詳の武道家です。「キメラアント編」で明らかになった彼の念能力「百式観音」は、念によって具現化された観音菩薩像が無限に近いパターンの掌打攻撃を打ち込むというもので、そのスピードは最強のキメラアントの王・メルエムでも避けられないほど。ほとんど無敵の能力ですが、この技を編み出すまでのネテロの「一芸」の極め方は想像を絶するものでした。
46歳の時に自分の武の才能の限界を感じていたネテロは、そこから自分を成長させてくれた「武道」への感謝を形にした、「気を整える」→「拝む」→「祈る」→「構えて突く」という「感謝の正拳突き」を1日1万回繰り返す修行を始めます。この「感謝の正拳突き」を極めていった結果、日課の1万回の所要時間は1時間を切り、さらにその後ネテロが人前でその成果を披露した際にはその動きは「音を置き去り」にしました。
「百式観音」の攻撃にも、一見非効率に見える予備動作としての「祈りの動き」があるのですが、それがあるからこそメルエムをも上回るスピードの攻撃ができるのです。作中では、王との戦いが最高潮に達した終盤、「1分弱の間に千回を超える攻撃」を繰り出したとまで描かれています。ネテロの能力は「一芸」を極め、もはや理屈を超える域に到達した代表的な例といえるでしょう。
●『ジョジョの奇妙な冒険』ジョニィ・ジョースター
『ジョジョの奇妙な冒険』第7部「スティール・ボール・ラン」の主人公・ジョニィは、過去の事件が原因で下半身不随になっている状態で登場した、シリーズ屈指の苦労人主人公です。「自分の『マイナス』を『ゼロ』に戻したい」という目的で戦う点が、「ジョジョ」のなかでは異色でもあります。
また彼のスタンド「タスク」は彼の下半身を治す可能性を秘めた「回転」に基づく、相手の殺傷に特化した能力でした。自分の爪を回転させて飛ばすというシンプルなもので、その他の部の主人公スタンドに比べると汎用性は低いです。しかし、ジョニィはアメリカ大陸横断レースでジャイロ・ツェペリと旅をしながら、彼の鉄球の「回転」の力を学び、冒険を経て「タスク」はACT1からACT4まで進化していきます。
「回転」や「聖なる遺体」の力の希望にすがり、強敵との戦いで何度も恐怖や絶望を味わって泣きながらも、ギリギリのところで勝ち続けて最後はなんとか「ゼロからのスタート」を手にしたジョニィ。彼もまた、「回転」という「一芸」を突き詰めたキャラです。