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『クラッシャージョウ』BSで放送 安彦氏のロマンが詰まった陽気なSFアニメ

1979年にTV放映された『機動戦士ガンダム』は「ファーストガンダム」と呼ばれ、多くの人たちから愛され続けています。ファーストガンダムのキャラクターデザイン&作画監督を務めたのが安彦良和氏です。安彦氏の監督デビュー作となった劇場版『クラッシャージョウ』の魅力、マンガ家としての顔も持つ安彦氏のキャリアを振り返ります。

安彦良和氏の監督デビュー作

劇場アニメ『クラッシャージョウ』Blu-ray BOX(バップ)
劇場アニメ『クラッシャージョウ』Blu-ray BOX(バップ)

 ガンダム 再び大地に立つ! 劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が2022年6月3日(金)より公開される予定です。1979年に放送が始まったTVアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」を長編アニメ化したものです。『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン&作画監督を担当した安彦良和氏が監督を務めています。

 ロボットアニメにリアリズムを持ち込んだ富野由悠季監督のたぐい稀なるSFセンスに加え、「ガンダム」ブームを巻き起こした原動力となったのが、安彦氏の並外れた画力でした。安彦氏が総監督を務めた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がNHK総合で2019年に放映されたのも、記憶に新しいところです。

 その安彦氏が監督デビューを果たしたのが、劇場アニメ『クラッシャージョウ』(1983年)でした。2022年2月13日(日)夜7時からBS12の「日曜アニメ劇場」で放映される『クラッシャージョウ』の見どころを紹介します。

天才アニメーター・板野一郎も参加

 SF作家・高千穂遥氏のスペースオペラシリーズ「クラッシャージョウ」の初映像化作品となったのが、劇場版『クラッシャージョウ』です。高千穂氏は「スタジオぬえ」の設立メンバーでもあったことから、安彦氏と親交がありました。小説版『クラッシャージョウ』の表紙も、安彦氏が手掛けています。

 22世紀の宇宙が『クラッシャージョウ』の舞台となります。「クラッシャー」とは、危険物の運搬や人命救助などを引き受ける宇宙の何でも屋です。ジョウ(CV:竹村拓)をチームリーダーに、女性航法士のアルフィン(CV:佐々木るん)、体のほとんどがサイボーグ化されているタロス(CV:小林清志)、機関士のリッキー(CV:小原乃梨子)、サポートロボットのドンゴ(CV:二又一成)が、財閥家の令嬢エレナの失踪事件に立ち向かいます。

 シリアスモードだった『機動戦士ガンダム』から一転、『クラッシャージョウ』はコメディタッチの明るい作品となっています。女性に優しく接するジョウに、アルフィンが焼き餅を焼く様子はラブコメっぽく描かれています。高千穂氏のもうひとつの人気作『ダーティペア』が、意外な場面でカメオ出演するのも見逃せません。

「板野サーカス」の異名を持つ天才アニメーター・板野一郎氏も原画で参加しており、物語中盤の空中戦などを手掛けています。『機動戦士ガンダム』で空前のSFアニメブームを巻き起こした手練れスタッフたちによる、手描きアニメの面白さを満喫することができます。

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