30周年の『テッカマンブレード』 「鬱アニメ」と言われながらも高評価だったワケ
「アニメ豊作の年」と言われた1992年に放送された『テッカマンブレード』。徹底した悲劇的な展開に誰もが「鬱アニメ」の烙印を押しましたが、それを最後まで貫き通したことで多くの人に納得されるエンディングを迎えました。
タツノコヒーローが背負った宿命とは?

本日2月18日は、30年前の1992年にTVアニメ『宇宙の騎士テッカマンブレード』が放送開始した日です。タツノコプロ創立30周年記念作品でもあった本作の魅力について振り返ってみましょう。
本作は1975年にタツノコプロで製作された『宇宙の騎士テッカマン』を原作として製作されました。しかし名称など一部に共通点はありますが、内容的には、まったくの別作品といっても過言ではありません。
前作の『テッカマン』は、『科学忍者隊ガッチャマン』、『新造人間キャシャーン』、『破裏拳ポリマー』とあわせて、タツノコ4大ヒーローとして認知されているほどの有名作品です。それがリファインされることになったきっかけは、その認知度の高さと商品展開のしやすさからでした。
実は、このタツノコ4大ヒーローには面白い共通点があります。それは父と子の物語という点です。
『ガッチャマン』では主人公と幼いころに別れて、最期の時まで名乗らなかった父。『キャシャーン』では父の作ったロボットの暴走を食い止めるため、人間であることを捨てた主人公。『ポリマー』では父のやり方に反発して家を飛び出し、自分のやり方で悪と戦う主人公。……こうした要素がありました。
前作の『テッカマン』では、主人公の父は第1話で敵宇宙人に殺されましたが、実は打ち切りによって製作されなかっただけで、その後の展開が予定されていたのです。それは中盤から死んだはずの父親が敵に洗脳され、敵側のテッカマンとして主人公と戦う父子対決でした。
この展開が、本作『ブレード』の核になっています。すなわち、地球を守るために家族や友人、恩師といった親しいものを倒さなくてはいけないというドラマ。主人公Dボウイに起こる悲劇を、前作以上の過酷な展開で進めています。
当時は、それまでの子供向けアニメとは趣向の違う大人向けのハードな展開が喜ばれる時代で、この作品の他にもさまざまなタイプのリアルな人間ドラマを描いたアニメが制作されていました。しかし、この作品はその中でも飛びぬけてハード。人によって「鬱作品」とまで言われた展開で終始製作されていました。その結果、主人公がたどった苦難の道は他のアニメ作品と比べても突出しています。
しかし、この作品の最後はバッドエンドではありません。少なくとも筆者はそう思いますし、ファンの中にもそう思う人は多くいると思います。とてもビターなエンド。作中で繰り返された悲劇を主人公であるDボウイが正面から受け切った物語と言えばいいのでしょうか。
そんな本作の人気は衝撃的だった最終回を迎えてもなお、とどまることを知らず、数年後にOVA作品として展開しています。ただしTV版が過酷だったゆえか、OVAは真逆の明るさをメインとした方向に向かった作品となり、一部のファンからは辛辣な評価を集めています。