OVAから大人気となったアニメ『天地無用!』 魅力的なヒロインと圧巻の作画を振り返る
1992年にOVA(オリジナルビデオアニメ)として発売された『天地無用!魎皇鬼』は爆発的な人気を獲得し、TVアニメ化を始めとする数多くのメディアミックス展開が行われ、ファンを楽しませました。シリーズは現在も継続中で、2021年には『天地無用! 魎皇鬼 第伍期』が発売されています。今も天地たちの物語は続いているのです。
OVA(オリジナルビデオアニメ)が輝いていた時代
1980年代後半から1990年代にかけて、数多くのOVA(オリジナルアニメビデオ)が発売され、大きなムーブメントを引き起こしていました。
TVでアニメを放送する場合には放送枠を数千万円で購入する必要があり、表現規制も地上波のものが適用されます。それに対し、OVAは費用が安めで表現も比較的自由に描写できたため、多くの個人や会社が参入し、才能あるクリエイターが思う存分に腕を振るって数多くの傑作が生み出されたのです。
なかでも特に有名な作品として挙げられるのが、「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明監督の『トップをねらえ!』でしょう。高度なSF考証とケレン味のある巨大ロボットの組み合わせ、主人公・タカヤノリコをはじめとする登場キャラクターたちに襲い掛かる容赦のない展開は、多くのアニメファンに強烈な衝撃をもたらし、制作にあたったGAINAXの名を世に知らしめました。
GAINAX以外にも多くの会社がOVAの制作/製作に携わっていましたが、なかでも大きな存在感を放っていたのが、AIC(アニメインターナショナルカンパニー)でした。1985年に『メガゾーン23』と『戦え!イクサー1』を送り出したのを皮切りに、『破邪大星ダンガイオー』『ブラックマジック M-66』『バブルガムクライシス』『吸血姫美夕』『冥王計画ゼオライマー』『極黒の翼バルキサス』などの伝説的な作品を次々と世に送り出し、その内の一部は後にTVアニメ化も果たしています。
そんなAICが1992年に製作したのが、『天地無用!魎皇鬼』でした。80年代にもてはやされたハードSFの香りをほのかに残しながらも、主人公である柾木天地(まさき・てんち)が魎呼(りょうこ)や阿重霞(あえか)、砂沙美(ささみ)ちゃんに美星(みほし)さん、鷲羽(わしゅう)さんといった美女・美少女とともにドタバタハーレム生活を送る物語は、多くのファンから支持され大人気となったのです。