転売が横行する「ガンプラ」 玩具店を調査してわかった驚愕の実態とは
2020年の秋ごろから目立ち始めたガンプラの転売問題は、その後エスカレートする一方となり、消費者と小売業者に多大なダメージを与えています。果たして、消費者が安定して好きなガンプラを手に入れることができる日は来るのでしょうか?
小売業者はもはや限界? 「取扱中止」を宣言するお店も

2022年2月現在、ガンダムのプラモデル商品、いわゆる「ガンプラ」がほとんど手に入らない状況が続いています。背景には、エスカレートする「転売問題」があります。
ほんの2年ほど前まで、ガンプラは簡単に手に入るものでした。しかし、コロナ禍による巣ごもり需要が高まっていた2020年10月に「HGUC 1/144 バウンド・ドック」が発売されたあたりから、大きく状況が変化したのです。
それほど高い人気があるわけでもない「バウンド・ドック」があっという間に売り切れ、フリマサイトなどで次々と転売商品として並べられた状況を見て、筆者を含めガンプラ好きの人間はかなりの戸惑いと憤りを覚えていました。
そして2022年になっても、ガンプラの入手はさらに困難の一途を増しています。転売屋のターゲットになった直後は小学生や主婦が小遣い稼ぎにガンプラを購入する光景もしばしば見られました。筆者自身も、店頭でガンプラを見つけた女子高生が「あ、ガンプラだ! これ転売できるんだよね!」と言いながら数個のHGモデルを抱えてレジに向かう光景を目撃し、世も末だと愕然とした経験があります。
しかしながら現在は、前述のような光景がもはや牧歌的と思えるような状況に陥っています。当記事を執筆するにあたりさまざまな調査や聞き込みを行いましたが、あまり筋の良くない人間が本格的にガンプラの転売を行っている状況が浮かび上がっているのです。
筆者が耳にしただけでも「軽トラックに乗った男がいきなり店に来て『ガンプラはあるか!』と怒鳴りつけてくる」「ガンプラをあるだけ出せと言って店に居座る」「バックヤードや倉庫に勝手に入り込もうとする」「道路に止めてある問屋のトラックの中を覗き込む」など、明らかにガンプラを愛する人間とは異なる何者かが活動していると推測できる事例が多発しています。
直接店に来る以外にも、問い合わせの電話もひっきりなしにかかってくる状況です。筆者が聞き込みを行ったある模型専門店でも、話を聞くほんの数分のあいだにガンプラに関する問い合わせの電話が2回ありました。
TwitterなどのSNSでも「当面ガンプラの取り扱いは止めます」と宣言する店舗がすでに出てきており、最前線の小売店では限界を超えている状況が明らかになっています。この状況が変わらなければ、40年にわたって紡がれてきたガンプラの歴史にとって、大きなダメージとなることは間違いないでしょう。