『機動戦士Zガンダム』は当時の子供には難しかった? 真価が分かったきっかけは…
1985年3月2日は『機動戦士Zガンダム』が放送開始した日です。大ヒット作『機動戦士ガンダム』の続編であり、後のガンダムシリーズの発展に大きな貢献を果たした作品です。しかし3つの陣営が入り混じり、人のエゴが前面に押し出される形で展開されるストーリーは、子供にとっては難しい内容でもありました。
突然現れた「ガンダムの続編」
37年前の今日、1985年3月2日は、『機動戦士Zガンダム』が放送を開始した日です。
「ガンダムの続編」が始まることを教えてくれたのは、たぶん前番組の『重戦機エルガイム』が終わった後に、番宣を見た友達だったと思います。もう37年も前の話ですが、最初に話を聞いた時は、驚きと困惑が入り混じった気持ちになったことをよく覚えています。なぜならば、そのころの筆者にとってガンダムは「最終回を迎えた」作品だったからです。
今ではロボットアニメに続編はつきものですが、当時のロボットアニメは放送終了から数年をあけてからシリーズの新作が作られた例がなく、続くとすれば『ゲッターロボ』から『ゲッターロボG』へ移行したように、最初のシリーズが終わったらすぐに次のシリーズが始まるパターンしかありませんでした。
このとき筆者は、土曜日の夕方は習い事をしており、残念ながら新しいガンダムを見ることはできませんでした。1985年の時点で家庭用ビデオデッキはそれなりに普及し始めてはいましたが、まだ筆者の自宅にはなかったので録画もできず、仕方なしに友だちから話を聞くことしかできなかったのです。
そして新しいガンダム、すなわち『機動戦士Zガンダム』の放送が開始された翌週の月曜日、さっそく友達に感想を聞いて回ったのですが、反応は芳しいものではありませんでした。
「ガンダムはいた」
「アムロはいなかった」
「なんか話が分からなかった」
当時の子供たちにとって、ガンダムは「アムロが乗るもの」でした。アムロはいないのにガンダムが出るのは、今となっては笑い話でしかありませんが、矛盾の極みにも思えたのです。
しかも、1985年という時代は「ガンダム」にとって向かい風が吹いていました。1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」に子供たちは夢中になっており、今までプラモデルに消えていたお小遣いは、貯めて新しいカセットを買うために使われていたのです。
さらに、TVではビートたけしの「俺たちひょうきん族」が大ブームとなっていた時期でもあり、子供たちはこぞって真似をしていました。このような状況のなか、『Zガンダム』は一定の評価は得たもの爆発的なブームとはならずに終了し、放送枠は次作『機動戦士ガンダムZZ』へと移行しました。
筆者が『Zガンダム』の真価を知ったのはそれから約3年後、1988年ごろに行われたテレビ東京の早朝枠での再放送がきっかけでした。
そう、このとき筆者の家にはビデオデッキがあったのです。