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『ガンダム』一年戦争の撃墜王はアムロではない? 謎めいた連邦軍エースパイロットの軌跡

地球連邦の撃墜数カウントは「雑だった」?

テネスが実戦で最初に搭乗したMSでもある、「HGUC 1/144 RGM-79 ジム (機動戦士ガンダム) 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
テネスが実戦で最初に搭乗したMSでもある、「HGUC 1/144 RGM-79 ジム (機動戦士ガンダム) 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

 開戦初期の戦いで大きな損害を受けた地球連邦軍の宇宙軍は、再建のために海洋艦隊に協力を求め、転属志願者を募ることとなりました。テネスはこれに応じ宇宙軍へと転属、ルナツーで宇宙戦闘仕様のトリアーエズへの機種転換を受け、6月に実戦部隊へと配備されます。

 その後2か月間の間にムサイ級軽巡洋艦2隻の撃沈をアシスト、モビルスーツも単独での撃墜が1、共同撃墜2と、着実に戦果を挙げ、8月にはMSパイロット候補生に選抜されジャブローへ向かうことになりました。

 テネスは「TGM-79 ジム・トレーナー」で訓練を行った後に、9月には量産が開始されたばかりの「RGM-79ジム」を受領し再びルナツーへと戻り、ジオン軍のパトロール部隊を迎撃する任務に従事します。

 ここでMS4機、ガトル型戦闘爆撃機などの航宙機9機撃墜を記録、戦闘機パイロット時代の戦果と合わせ、早くもエース・パイロットとして認定される戦績を上げています。ほどなくテネスは新設されたMS狙撃部隊へと異動し、「RGM-79SCジム・スナイパーカスタム」を受領。撃墜数を飛躍的に伸ばしていくことになります。

 12月に入ると地球上での戦いは連邦側優勢となり、多くのジオン兵が宇宙へ戻ろうとします。このときテネスは多くの撃墜を記録しているのですが、ここで、地球連邦軍の撃墜カウントの問題点が露呈します。

 なんとHLV(大気圏離脱艇)を撃墜した場合、なかに搭載されていたとされるモビルスーツも、撃墜数にカウントされてしまうのです。結果としてテネスの撃墜数は、一気に増加します。

 その後、テネスはソロモン攻略戦に参加しますが愛機が損傷。新たな機体として「RGM-79GSジム・コマンド」を受領してア・バオア・クー攻防戦に臨みます。最終決戦でもユングは素晴らしい戦果をあげ、ジオン軍の要でもあったドロス級空母の撃沈に貢献します。

 このときドロス級が搭載していたとされるモビルスーツ数も撃墜認定を受け、テネスは一度に数十機単位で撃墜数を伸ばすこととなりました。結果、一年戦争中に「MS149機」という途方もない撃墜記録を打ち立てることとなりましたが、戦後になって規定が変更され、共同撃墜を除く個人撃墜記録は52機、未認定の撃墜数が6機とされています。

 なお、アムロが作中で実際に撃墜を記録したMS数は60機であり(画面外の撃墜を含めると62機の可能性も)、規定変更後であればアムロが上回ると思われます。

 テネスは戦後、ジオンの残党狩りに従事したとされていますが、あまり取り扱われることがない謎が多いキャラクターです。いつか、テネスの真実を解き明かす作品を見てみたいものです。

※参考資料:「マスターアーカイブ 機動戦士ガンダム MSVエースパイロットの軌跡」(SB クリエイティブ)

(早川清一朗)

【画像】ガンダムでなくても「撃墜王」に? テネスが乗り継いだMSたち(6枚)

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