マグミクス | manga * anime * game

『宇宙刑事ギャバン』40周年 TV特撮の「逆境」を打ち破った、画期的な試みとは?

40周年を迎えた不朽の名作『宇宙刑事ギャバン』は、今でも語り継がれることの多い作品ですが、その誕生は想像以上の逆境のなかで生み出されました。日本の特撮を存続させたという、重要な功績について振り返ります。

時代の逆風に挑んだ新機軸、第1話は気合が入りすぎて…

「宇宙刑事ギャバンBlu-ray BOX 2」(東映)
「宇宙刑事ギャバンBlu-ray BOX 2」(東映)

 本日3月5日は、40年前の1982年に『宇宙刑事ギャバン』が放映開始した日です。本作は、それまでの日本の特撮TV番組になかった新機軸の作品として好評価を得ました。

 この時代、『ウルトラマン80』(1980年)と『仮面ライダースーパー1』(1980年)があいついで終了したことで、第3期ウルトラブームと第2期仮面ライダーブームも終焉を迎えていました。その反対に『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)に続いて『機動戦士ガンダム』(1979年)の大ヒットでアニメ作品全体の人気が盛り上がり、「アニメブーム」と呼ばれる時代が到来します。

 また、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980年)の大ヒットも話題になりました。その映画ならではの本格的な特撮シーンは、それまでのTV特撮と比べられ、多方面からTV特撮番組は酷評を受けます。そのなかで唯一、人気を博していたのが「スーパー戦隊シリーズ」でしたが、このままでは特撮TV番組は衰退していくのを待つばかり……という状況でした。

 そこで、これまでにないヒーローを誕生させるために動き出した企画が『宇宙刑事Z』、後のタイトルは『宇宙刑事ギャバン』です。きっかけとなったのは、ポピー(現在のバンダイ)の村上克司さんの描いたプライベートイラストだったそうです。金属質のボディに剣を持ったヒーローの絵を見た東映の吉川進プロデューサーは、まったく新しいヒーローを作り出すことを決意しました。

 この企画で特筆すべき点のひとつが、従来ならば実績のある石ノ森章太郎さんを中心にデザインを進めるところを、あえて外したことです。その代わり、出版社を通じてさまざまな分野の方を登用したそうです。それまでのヒットメーカーを外して新風を取り入れたことで、本作は過去にない新しいヒーロー像を構築しました。

 宇宙刑事といえば、そのメタリックなボディが目を引きます。この真空蒸着メッキといわれる技術が、その後も続くことになる「メタルヒーローシリーズ」の重要なポイントにもなりました。この「蒸着」をそのまま変身コードに使用するセンスも、本作の魅力でした。

 しかし、このメッキのボディには太陽光線や人工照明の照り返しが大きく、撮影が困難になるという欠点もあります。そこで考えられたのが「魔空空間」でした。この設定により、最終的な戦いの場はスタジオになります。また、この設定がさまざまな場所へつなげる不条理さや、作品自体の映像効果といった本作シリーズ独特の世界観構築に役立ちました。

 そして、タイトルが「ギャバン」となった理由は、商標登録上、他の商標と一緒にならないようにするために長い名前になることを避けたかったからだそうです。この外国人俳優の名前を引用するパターンは、宇宙刑事シリーズ以降も続けられました。

 当時はまだ実験的に使われていたビデオ合成をふんだんに使い、積極的に新しいものを取り入れた本作は予算も通常以上に使われたため、失敗すれば二度と新規のTV特撮ヒーロー番組は作れなくなるという、背水の陣で挑んだそうです。

 その結果、力が入りすぎたのか第1話は1時間を超えるボリュームになりました。そのため、30分番組にカットするための編集が大変だったそうです。今だったらディレクターズカット版が発売されていたかもしれません。

1 2 3