近年のヒットアニメあるある 今支持されるキャラとは「主人公の道徳偏差値高め」
近年、テレビや映画でアニメ作品が大きなヒットを飛ばし、話題となっています。これらのヒット作品にはどの時代においてもファンの心を惹きつける共通点がたくさんありますが、そのなかでも、いまだからこそ大事だと思われるポイントをまとめました。
「広く好かれる」「嫌われにくい」主人公?
『鬼滅の刃』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『呪術廻戦』など、近年、アニメ作品の大ヒットが社会的な話題となっています。これらの作品には、どの時代でもファンを惹きつける共通点がたくさんあります。それらを見比べていくと、令和の時代だからこそ大事だと思われるポイントが見えてきて……?
●主人公の道徳偏差値が最初から高め
まずは主人公に求められる「性格」についてです。キャラクターの個性を作る上では、「不屈の精神」「誰にも負けないパワー」などのプラス面はもちろんのこと、「弱虫」「すごく不器用」などマイナス面もある方が、後々それを克服していくドラマが生まれ、盛り上がりやすくなると言われています。例えば「運動神経は抜群だが性格は短気でけんかっ早い元不良がスポーツを通して成長し、仲間との絆を育むストーリー」など。完全無欠のキャラよりも、多少人間味があって成長していく姿を見せる方が、視聴者の共感を得やすくなるという考えです。
しかし、近年ヒットしているマンガやアニメのキャラには「ここが絶対的なマイナス」、というような部分があまり見当たらない人物も多いと思われます。例えば『呪術廻戦』の主人公・虎杖悠仁は、「常人離れした身体能力の持ち主」というだけでなく、「自分の強さをほかの人びとを救うために使う」という精神面でも素晴らしい人物です。
また、『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎は、ほぼ「プラス」だけでできているといっても過言ではないキャラで、「素直」「努力家」「頭が良い」「才能がある」など、うらやましい要素ばかりです。物語の最初こそ師匠の鱗滝左近次から「判断が遅い」などと怒られていましたが、厳しい修行をこなすことで、戦いに必要な精神を物語の序盤でほぼ完成させていました。
このように、最初から主人公を完成度高めな人物に設定するメリットは、「多くの視聴者に広く好かれる」ことでしょう。現在マンガ・アニメはネット上でも膨大な作品が発表され、それぞれの入れ替わりも激しくなっています。TVアニメだけでも、年間の制作本数は314本(2019年)にものぼるそうです。そのため、読者や視聴者がそれぞれの作品の主人公の成長をじっくり見守るような余裕は、どんどん減っています。まず「最初の印象から主人公=作品を好きになってもらう」、そして「嫌われそうな可能性はできるだけ排除する」という工夫は、現代でヒット作品を生む要因のひとつかもしれません。
近年のヒット作品では、女性キャラクターの立ち位置・存在も大きく変化していると言えます。