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現実社会を投影してきた映画『バットマン』 明るいヒーローから偏屈キャラへと変身

人気俳優ロバート・パティンソンが主演した実写映画『THE BATMAN ザ・バットマン』が、劇場公開されます。バットマンが知能犯のリドラーを追い、セクシーなキャットウーマンも絡んでくる犯罪ミステリーとなっています。DCコミックスにバットマンが登場して84年。たびたび実写映画化されてきた『バットマン』の遍歴を紹介します。

ハリウッドスターが演じてきた歴代バットマン

ポップで明るいバットマンを楽しめた、1966年の映画『バットマン オリジナル・ムービー』 DVD(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)
ポップで明るいバットマンを楽しめた、1966年の映画『バットマン オリジナル・ムービー』 DVD(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)

 アメコミ生まれの覆面ヒーローが犯罪者たちと戦う『バットマン』は、ハリウッド映画を代表する人気シリーズとなっています。新作実写映画『THE BATMAN ザ・バットマン』は、主人公のブルース・ウェインことバットマンを、若手俳優ロバート・パティンソンが演じることで話題です。2022年3月11日(金)より劇場公開が始まります。

 マスク越しに見えるあごの形も凛々しい新バットマンが戦うのは、知能犯のリドラー(ポール・ダノ)です。殺人事件の現場に「手掛かり」を残すリドラーのキャラクターは、実在した連続殺人犯のゾディアックを参考にしたそうです。これまでの「バットマン」シリーズとは雰囲気が異なる、ミステリータッチの作品となっています。

 ブルースは事件の真相を追ううちに、ゴッサムシティ全体を覆う腐敗構造を知ることになります。キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)も登場し、物語の行方は二転三転します。上映時間は2時間56分という大長編です。

 今回は、マイケル・キートン、クリスチャン・ベール、ベン・アフレックら、さまざまなハリウッドスターたちが演じてきた映画『バットマン』の歴史を振り返ります。

リドラーではなく、「ナゾラー」だったオリジナル版

 オールドファンにとって懐かしく感じられるのは、初の長編映画『バットマン オリジナル・ムービー』(1966年)ではないでしょうか。『怪鳥人間バットマン』のタイトルで日本でも放映されたTVシリーズの劇場版です。主演俳優アダム・ウェストの日本語吹き替えを、広川太一郎さんが担当していたことでもおなじみです。

 大富豪のブルース・ウェインは、事件が起きるやいなや「正義のヒーロー」バットマンに変身。地下洞にある秘密基地に格納されたバットカーに乗り、凶悪犯に立ち向かいます。相棒のロビンも一緒です。

 劇場版ではジョーカー、ペンギン、リドラー(日本語版ではナゾラー)、キャットウーマンが極悪同盟を結成し、バットマンを苦しめます。カラフルな衣装を着たジョーカーらは、犯罪者というよりは悪ふざけする陽気なおじさんたちでした。バットマンもキャットウーマンが仕掛けたハニートラップに、あっさりと引っ掛かってしまうダメンズぶりを見せています。

「POW!」「ZWAPP!」

 アクションシーンにはそんな英語の吹き出しが躍る、ポップでコミカルな作品でした。いかにも低予算なB級映画ですが、明るく軽快なノリは今も忘れられません。

【画像】バットマン像の変遷がわかる、歴代映画作品たち(5枚)

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