『キングダム』の熱すぎる「一騎討ち」4選!歴戦の武将たちが魅せた強さと意地
中国史上初めて天下統一を果たした秦の始皇帝ことエイ政(えいせい)と、下僕の身分から大将軍へと成り上がる信の活躍が描かれた大人気漫画『キングダム』。そんな同作において、 何千、何万人もの兵を背負っている武将が、一対一で決着をつける「一騎討ち」には「戦場の華」ともいえる魅力があります。今回は、『キングダム』の数ある一騎討ちのなかでも、特に印象深い戦いを紹介します。
魂のぶつかり合い!手に汗握る一騎討ち
史上初めて「中華統一」を成し遂げた秦の始皇帝ことエイ政のもとで、下僕の身分から大将軍へと成り上がった信の物語を描いた歴史バトルマンガ『キングダム』。同作では戦場での激しい戦闘描写や、相手の手を読みあう頭脳戦も大きな魅力です。そして、戦場においては、「将軍」の存在が大きな意味を持ちます。
当然、指揮官である将軍がいなくなれば、軍は容易に崩壊してしまうため、兵士は必死で将軍を守ります。しかし、時に将軍たちは、「一騎討ち」で決着をつけることもあるのです。それは、彼らに「引けない理由」があるから。今回は、そんな武将たちの思いのこもった「一騎討ち」から、特に素晴らしい戦いを紹介します。
※キャラや固有名詞の常用外漢字の部分はカタカナ表記にさせていただきます。
●新たな時代の開幕を告げる一戦「信vs輪虎」
まずは主人公・信の「一騎討ち」から、「vs輪虎戦」を紹介します。魏国との山陽攻略戦で、元趙国三大天・廉頗(れんぱ)が率いる軍と対戦することになった秦軍。そこで、信は「廉頗四天王」のひとりであり、「廉頗の剣」としてその武力を中華に知られている武将・輪虎(りんこ)と一騎討ちを繰り広げます。
秦軍の千人将を淡々と討ちとっていた輪虎は、かつて秦の六大将軍と三大天が覇を競っていた「完璧な時代」を駆け抜けた「廉頗の剣」に相応しい、圧倒的な強さを持っていました。そんな輪虎に相対した信は当然苦戦を強いられます。
同年代のライバルである王賁(おうほん)と共闘するも軽くあしらわれ、深手を負い追い詰められる信でしたが、踏ん張りがきかなくなった馬上の不利を突いて、捨て身の攻撃で地上戦に持ち込みました。そして、最後は輪虎にできた一瞬の隙を見逃さず、ついに輪虎を撃破します。
ここまで「飛信隊」隊長として成長を見せていた信ですが、「一騎討ち」で歴戦の将軍を打ち破ったのは初めてでした。まだ中華に名を知られていなかった信が、「完璧な時代」のビッグネームである輪虎を打ち破った瞬間は、新たな時代の幕開けを感じさせます。
●四度交わる因縁の刃「信vsホウ煖」
自ら「武神」と名乗るほど、規格外の強さを持つ趙国三大天のひとり・ホウ煖(けん)。彼の個の強さは理不尽なまでに飛び抜けており、信は、王騎(おうき)やヒョウ公といった恩のある大将軍たちを目の前で殺されています。単純な武力においては紛れもなく作中最強で、インパクトは『三国志』における呂布以上かもしれません。
そんな化け物のようなホウ煖と信は、四回も刃を交えています。馬陽の戦いにて、何もできず気絶してしまった無念の一回目と、再び気を失ってしまうも手傷を負わせた意地の二回目。三回目では、最(本来は「くさかんむり」に「最」)防衛戦にて、相手に深手を負わせ、見事撃退し成長を見せました。
そして、四回目の朱海平原の戦いにて、信は持てる全てをぶつけ、ついに雌雄が決します。超越者となることで戦争を無くそうとしていた求道者・ホウ煖と、紡がれてきた思いを背負って戦う将軍・信。作中の時間で8年、実に単行本45巻分もの物語を積み上げて練り上げられた因縁に決着がついた瞬間は感無量でした。
一騎討ちの後、力を出し尽くした信が黄泉の国に旅立とうとするところを、羌カイ(きょうかい)が秘術で連れ戻す「ファンタジー」な展開がありましたが、それも納得できるほどの長く激しく因縁深い戦いです。