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実写「ハガレン」続編が話題に!実写化映画の大事なポイントを歴代成功作から考察

漫画やアニメの実写映画は、発表されるたびに原作ファンの間などで大きな議論になります。そもそも実写化とはどうすれば成功するのか、続編が作られるほどに人気を博した作品にはどんな特徴があったのでしょうか。過去の成功した実写映画を参考に考察します。

サプライズだった『ハガレン』実写映画の続編発表

連載20周年を記念して公開が発表された『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』ビジュアル (C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
連載20周年を記念して公開が発表された『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』ビジュアル (C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会

 2022年3月2日、連載20周年を記念して『鋼の錬金術師』の実写映画の、新プロジェクトが発表されました。

 これまでに2度のテレビアニメ化に2本の劇場アニメ、そして2017年には山田涼介さん主演で実写映画も制作された人気作『鋼の錬金術師』。その実写版の続編が公開されるというニュースは、多くの人にとってサプライズだったことでしょう。

 このニュースに対する反応は、悲喜こもごもというか、原作ファンや山田さんファンも複雑な胸中を吐露するものが多かったように思います。本作に限らず近年、漫画やアニメを実写映画化企画は数多くあり、そのなかには興行的、批評的に成功した作品もあれば、そうでないものもあります。果たして、どういうタイプの企画が成功し、さらには続編まで制作されることになるのか、過去作の傾向から考察します。

●そもそも「実写」ってどういう表現なのか

 実写化の成功要因を考えるためには、まず「実写」とはどういう特徴のある表現手法なのかを考えた方がいいでしょう。

 実写とはなんでしょうか。実はきちんと定義されているとは言い難いですが、あえて言えば、「カメラで実際の風景や人物を撮影した映像」となります。近年はディズニーの実写版『ライオン・キング』のように全編CGで作られた作品もあり、必ずしも実際に撮影されているとは限らないので、この辺りの基準は曖昧になりつつあります。

 とはいえ、映像が発明されて以降、カメラは絵画などの既存の表現と異なり、人の主観を介さずに機械的に世界を切り取れるものとされ、映画批評もこの点を重視してきました。だからこそ、リアルを追求した映画は賞レースなどで評価されやすいのです。

 反対に、アニメも漫画も人の手でゼロから描かれるもの。つまり、実写は世界を切り取るもので、漫画やアニメは世界をゼロから作るものということになります。

 したがって、ゼロから作った漫画の世界を実写化する時には、その世界をしっかり作り込んで切り取るという形にする必要があります。この時、有利な企画はファンタジーやSF要素のない、現実世界を舞台にした作品群です。例えば実写版が3本作られた『ちはやふる』は実在するスポーツが題材ですし、その他に実写の続編が作られた『かぐや様は告らせたい』のような学園ラブコメ系、ヤンキー系の『クローズ』などもこれに当てはまります。

 ちょっと話が逸れますが、近年、マーベル映画が世界的にヒットしているのも、現実世界をベースにしているという点が大きいと思っています。完全にファンタジー世界にするのではなく、自分たちの生きているこの世界にヒーローがいると仮定して、世界を切り取るという見せ方をしているのです。DC映画で成功している『ダークナイト』シリーズや『ジョーカー』も、かなり現実的な世界観に設定しており、同じような方向性と言えます。

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